公開日 2018年02月20日
本日ここに、平成30年第1回定例市議会を開会し、提出しました平成29年度各会計別補正予算及び平成30年度当初予算のほか、諸議案のご審議をお願いするに先立ち、その概要についてご説明申し上げます。
まず、議第1号 平成29年度中津市一般会計第8号補正予算につきましては、6億9,006万9千円を減額し、補正後の予算総額は432億4,703万5千円となります。
その主なものとしましては、歳入予算では、市税について、2億3,208万2千円を増額補正しています。
歳出につきましては、平成30年度当初予算計上を予定していました豊陽中学校施設大規模改造事業、鶴居幼稚園施設長寿命化改良事業及び小中学校のトイレ改修事業に関しまして、国の平成29年度第1号補正予算に対応し前倒して予算措置しております。そのほかは、事業費の確定や決算見込みによる減額などであります。
繰越明許費につきましては、テレビ会議システム導入事業費外46件の追加と3件の変更を計上しています。債務負担行為につきましては、中津市三光福祉保健センター指定管理委託料外15件の追加、1件の変更及び1件の廃止を計上しています。
議第2号 平成29年度中津市国民健康保険事業特別会計第4号補正予算から議第12号 平成29年度中津市水道事業会計第1号補正予算につきましては、事業費の確定や決算見込みによるものが主な内容であります。
引き続きまして、議第13号 平成30年度中津市一般会計予算につきまして、予算編成の基本方針及び施策の概要をご説明申し上げます。
まず、国の30年度予算案におきましては、「人づくり革命」や「生産性革命」への重点配分に加え、高齢化を背景に、医療や年金などの社会保障費が5000億円膨らみ、歳出全体の3分の1超となる見込みとなっております。一方、歳入では、景気回復を受けて税収が増加し、国債依存度は低下する見込みとなっていますが、国と地方を合わせた債務残高がGDPの2倍程度までに膨らみ、国債費は毎年度の一般会計歳出総額の2割以上を占める状況です。また、公共事業関係費は、前年度並みとされているところですが、従前に比べ縮減されており、国の財政は引き続き厳しい状況にあります。
本市におきましては、人口は微減しているものの、合計特殊出生率は県下14市のうち一番高く明るい材料もある中、順調な企業誘致の成果などにより税収は増加することが見込まれ、当初予算ベースでの市税は合併以降最高額の予算計上となりました。一方、地方交付税額は減少傾向にあり、本予算では、市税が地方交付税額を上回る状況となりました。自主財源比率はおよそ35%であり依然として国に依存した財政体質であるため、今後も国の動向を注視するとともに、合併特例期間の終了に伴う普通交付税縮減への対応など課題も内包しており、更に健全な財政運営に留意していく必要があります。
そのような中、「なかつ安心・元気・未来プラン2017」は2年目を迎え、プランを確実に実行し「暮らし満足」を向上・発展させる基盤の地固めを強化する必要があります。予算編成に当たりましては、世帯の経済状況による教育格差の是正や働き方改革による中小企業の人材確保・育成など新しい視点も加え「平成30年度中津市政推進の基本指針」を策定し、それに基づき各種施策を積極的かつバランスよく推進することに努めました。
以上のような考えでまとめた平成30年度一般会計当初予算の規模は407億4,605万9千円となり、前年度当初予算と比較しますと2.4%の減となります。
以下、予算案について、その概要をご説明申し上げます。
まず、歳入予算の市税につきましては、現在の経済状況や今後の見通しなどを勘案し、対前年度比で1.8%の増を見込んでおります。また、地方交付税におきましては、合併算定替の特例措置が終了したこと及び国の平成30年度地方財政対策において地方交付税が減額となっていることを勘案し、対前年度6.7%の減を見込んでおります。起債の発行額におきましては、対前年度比2.0%の増となりますが、借入金の着実な償還が進み、プライマリーバランスを保つことで、災害復旧による起債の積み増しがあったものの、平成30年度末起債残高は減少する見込です。
次に、歳出につきましては、「なかつ安心・元気・未来プラン2017」の施策の大綱となる「安心づくり」「元気づくり」「未来づくり」の3つの柱に沿った新規・主要施策を中心に、ご説明申し上げます。
1つ目の「安心づくり」についてです。
まず、災害に強いまち・災害に強い地域づくりについてですが、本市は、平成24年、平成29年と2度の激甚災害の指定を受ける大きな被害を受けました。そのときの経験及び全国的な課題を踏まえ、災害発生時に有効な情報通信手段確保を重点的に取り組みます。主な施策としましては、災害発生時の緊急告知システムが整備されていない旧中津市に居住する65歳以上の世帯に対し防災用緊急告知FMラジオを支給するほか、29年度より公共施設等に公衆無線LAN(Wi-Fi)を設置しており、30年度は各コミュニティーセンター・公民館を中心に設置してまいります。
次に、中津市版地域包括ケアシステムの構築としまして、高齢者の暮らしを守るため社会全体で支える仕組みを、地域の特性を考慮しながら構築していく取り組みを行います。主な施策としましては、その中心となる地域包括支援センターの機能強化に要する経費を増額して介護保険事業特別会計にて予算措置しております。また、切れ目のない在宅医療と介護の連携を支援する相談窓口として在宅医療介護連携支援センター・サブセンターの設置に要する経費のほか、認知症カフェ(オレンジカフェ)を開設する法人・団体に対して助成する経費を介護保険事業特別会計にて予算措置しております。
データに基づく健康づくりとしましては、健康寿命延伸のため、中津市民の疾病データの分析に取り組み、それに基づいた的確な保健指導に繋げる経費や、医療機関の情報サイト(「暮らし安心医療ナビ」)を定住自立圏版として作成する経費の予算措置をしております。
子育て2.0のまちづくりとしましては、これまでに、「子どもいきいきプレイルーム」の開設や、現在建設中でありますが、ダイハツ九州スポーツパーク大貞内に大型遊具を整備するなど積極的な取り組みを行ってきました。今回、子育てしやすい環境をより一層進めていくため、「子どもの居場所」づくりとして、子ども食堂の開設や学習支援を行う団体を支援するほか、子どもの発達段階に応じたきめ細かなニーズへ対応するため、新生児聴覚検査の助成を始めます。
誰もが生き生きと暮らせるまちづくりとしましては、障がいのある方が住みなれた地域で安心して暮らし続けていくための取り組みを行います。主な施策として、身体及び知的障がいのある方が、自ら相談員となり市内を回る移動相談室を設け、障がいがある方の悩みや困りごとの相談を受けるピアサポート交流事業のほか、福祉的交通弱者の支援としてタクシーチケットを引き続き給付します。また、高齢者の交通事故割合が年々高まっている状況を鑑み、高齢者が運転免許証を自主返納する機運を高めるため、70歳以上の免許証自主返納者にタクシーやコミュニティバス等の利用が可能な交通チケットを交付します。
「安心」で繋ぐ地域づくりとしましては、人口減少により従来からの活動に支障が生じている地域において、自主性を損なわず様々な地域活動が継続できるよう支援を行います。主な施策としましては、本年度スタートしました田舎困りごとサポート事業に加え、人口減少により商店が減少し、地域住民の高齢化により買い物の手段が課題となっている山国地区において、「みんなのお店」が移動販売を開始することに対し支援を行い、安心して暮らせる地域づくりを図ります。
続きまして、2つ目の「元気づくり」です。
まず、働き方改革による中小企業の人材確保・育成につきまして、中小企業の人材不足解消及び技術力向上に対する支援を強化します。主な施策としましては、勤労者資格取得支援、中山間地域創業支援に加え、有資格の求職者と企業のマッチングを図る人材バンクを設置するほか、女性の社会進出を促し、起業を支援するため、交流会等の実施を支援します。また、教職員の「働き方改革」に資するため、部活動の指導を行う職員の配置を県の施策に応じて実施します。
次に、一次産業における担い手育成と収益性向上につきましては、新たな担い手の確保及び生産性の向上と高付加価値化をすすめ、収益性を向上させる取り組みを行います。主な施策としましては、米の生産性を高めるため農業公社が農業用ドローンを導入する経費の支援を行うほか、中津市産品を戦略産品としてブランド化し、付加価値を高める「なかつ六次産業推奨品」認証の取り組みや、中津特産のカキ・アサリ・ハモ等の水産物ブランド化及び販路拡大を図ります。
山国川水系の上下流域を結ぶ観光振興につきましては、日本遺産認定を最大限に活かし、滞在時間の長い体験型観光の推進やインバウンド対策の強化を図ります。主な施策としましては、インバウンド対策として、台湾、香港、タイ等での中津市特集番組の放映や、観光事業者向けの「韓国語、中国語おもてなしマニュアル」の作成、インバウンド対策研修会の開催及びサイクリングを通じた台中市との交流強化など拡充して実施していきます。また、メイプル耶馬サイクリングロード活性化事業では、サイクリングガイドの養成やイベントの実施、サイクリングロードマップの作成など拡充して実施していきます。さらに、5月25日から5月27日にかけて「おんせん県おおいた世界温泉サミット」が開催されます。中津市では温泉と食、ウオーキングをコラボしたイベント「ガストロノミーウオーキング」を開催します。
地域が主体となった移住支援につきましては、定着率の高い移住を促進するため地域住民と行政、関係機関等が一体となった移住支援体制を確立します。主な施策としましては、従来から行っています移住するための空き家の改修や家財処分等の支援に加え、旧下毛地域へのUターン者が行う実家の改修についても支援を行うこととし、拡充した予算措置をしております。また、定住を目的として、任期を終えた地域おこし協力隊員が赴任地にて起業する場合に、その起業に対して支援します。
公民連携・政策間連携によるにぎわいづくりにつきましては、中心市街地を中心に、関係機関と連携して、にぎわいづくりに対する事業者の挑戦を支援する取り組みを行います。主な施策としましては、がんばる商店街支援事業におきまして、これまでの空き店舗活用や地域活性化イベントへの支援に加え、地域外からの誘客をターゲットにした外需獲得型商店街へ重点的に支援します。
「触れ合い」「楽しむ」文化・スポーツ環境につきましては、平成30年度は「第33回国民文化祭・おおいた2018」「第18回全国障害者芸術・文化祭おおいた大会」が開催されます。本市は「水の森エリア」として、障がい者の芸術作品展示も行う「中津水灯り2018」、「競技かるた全国大会」、「ミュージカル『山国川奇譚 鶴市愛歌』」、「九州人形芝居フェスティバル」のイベントが行われます。多くの市民が参加できる機会を設けるとともに、市民交流を深める取り組みを行ってまいります。また、2年目となります日本遺産推進事業(やばけい遊覧~大地に描いた山水絵巻の道を行く~)に関しましては、この契機に文化財の活用、観光の振興を含む地域活性化に積極的に取り組んでまいります。さらに、平成30年度は頼山陽入渓200年の節目に当たる年となるため、記念してイベント及び企画展を開催します。
最後に「未来づくり」です。
子どもの可能性を拡げる教育につきましては、「知・徳・体」のバランスの取れた人材育成を目指す上で、学力向上を優先課題と捉え対策を進めていきます。また、世帯の経済状況による教育格差の是正に向けた取り組みを行います。主な施策としましては、数学や英語の少人数指導や習熟度別指導を強化するため、授業改善を推進する中学校に、市独自の施策としての教員を増員します。また、個別指導及び複式学級一部解消に向け配置しております学力向上学習補助員を増員するとともに、小学校の英語の授業時間が増加すること及びネイティブスピーカーと供に学ぶ英語活動を充実させるため、英語指導助手を増員します。さらに、子どもの学びを支える補充事業や、グローバル人材の育成を積極的に実践する「学びに向かう中津っ子支援事業」に関しましては、APUの学生との交流会について、参加者の幅を広げ拡充した事業を行うほか、「小1プロブレム」の発生による就学前後の園児・児童の不安に関して、指導者、教員、保護者に対し研修を拡充して展開していきます。
地域で活躍する人材育成につきましては、「いつでも」「どこでも」「だれでも」学ぶことができる場の提供を基本に、学びの質や機会の確保、利便性を図る取り組みを行います。主な施策としましては、現在、中津市歴史博物館(仮称)を建設しており、現在の中津市歴史民俗資料館はその役割を終えます。そこで、その建物を耐震・改修し、「学びたい教育のまち中津」の拠点の一つとして活用していきます。小学生から高校生の学習スペース、社会人の仕事・勉強スペース、各種団体の勉強会での使用など市民誰もが利用可能な学習環境を提供し、世代を超えた交流を創出します。また、福澤諭吉、小幡篤次郎のゆかりの地中津として、慶応義塾大学との連携強化の場としての活用も検討していきます。
次に、「環境共生都市なかつ」の推進につきましては、環境方針"6K"(共生、きれい、快適、教育、継承、協働)を基に市民参画による「環境共生都市なかつ」の実現を目指した取り組みを行います。主な施策としましては、家族やグループでサポーターとして登録していただき、市民参画の「ごみ拾い」活動を実施する「きれいなまち中津」事業を実施し、市民の環境意識の向上を図ります。また、大学や市民団体と協力して、絶滅危惧の指定を受けているベッコウトンボの生息地である野依新池及びカブトガニ等希少生物が多く生息する中津干潟の生態調査等を行います。
債務負担行為につきましては、議会だより印刷業務外9件を計上しています。
引き続きまして、各特別会計の予算についてご説明申し上げます。
議第14号 平成30年度中津市国民健康保険事業特別会計予算から議第26号 平成30年度中津市水道事業会計予算につきましては、それぞれの事業費の動向を見込んだ所要経費などを予算措置していますが、議第24号 平成30年度中津市病院事業会計予算につきましては、資本的収支おいて、新病棟及びリハビリ棟の増築に伴う事業費、器械器具整備費などの経費を計上しております。
次に、予算外議案のうち、主なものについて、その概要をご説明申し上げます。
まず、議第28号 中津市犯罪被害者等支援条例の制定につきましては、犯罪被害者等基本法に基づき中津市における犯罪被害者等の支援のための施策の基本となる事項を定めることにより、犯罪被害者等の支援を総合的に推進し、犯罪被害者等が受けた被害の早期回復及び軽減を図るため、条例を制定するものです。
議第41号 中津市児童クラブ施設の設置及び管理に関する条例の一部改正につきましては、津民児童クラブが使用している津民保育所の閉所に伴い、当施設を児童クラブ施設として設置及び管理するため、条例を一部改正するものです。
議第44号 中津市介護保険条例の一部改正につきましては、介護保険法の改正及び第7期介護保険事業計画に基づき、平成30年度から平成32年度までの介護保険料の見直し及び負担能力に応じた介護保険料の賦課をするため、条例を一部改正するものです。
議第48号 中津市国民健康保険条例の一部改正につきましては、平成30年度から国民健康保険の運営が大分県と市町村で共同運営されることに伴い、葬祭費支給額を統一するため、条例を一部改正するものです。
このほかにも、市条例の制定案及び一部改正案などを提出していますので、それぞれにつきましては、ご審議いただく折に詳しくご説明申し上げます。
議員各位におかれましては、何卒慎重にご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げて、提案理由の説明を終わらせていただきます。