公開日 2019年06月07日
令和元年第1回定例市議会の開会にあたり、諸般の行政報告等を申し上げます。
まず最初に、昨年発生した耶馬溪町金吉地区山地崩壊災害から1年が経ちました。4月11日早朝、災害によりお亡くなりになった6名の方と現地災害復旧工事中の事故で亡くなられた1名の方に対し哀悼の意を表し、黙祷を捧げてまいりました。
中津市では、この日を「4.11 中津市の防災を考える日」と定め、災害現場の最前線で救出活動にご協力いただいた大分大学減災・復興デザイン教育研究センター次長の鶴成悦久先生を講師にお招きし、「今後、迫りくる災害への対応」と題して、市幹部職員等を対象とした研修会を開催しました。今回の災害の辛い経験を踏まえ、今後も想定される様々な災害に対する中津市職員としての心構えや対応について危機意識を共有し、これからも防災対策に万全を尽くしてまいります。
大分県による復旧工事は順調に進んでいますが、間もなく梅雨入りの時期となり、大雨による再崩壊に対する心配や住民の方々のご意向も伺い、耶馬溪町金吉地区に対する避難勧告は継続することとします。今後も大分県と協議し、梅雨明け以降の避難勧告解除に向けて検討してまいります。
次に、分かりやすい行政サービスの取組についてです。
このたび、「中津市暮らしの便利帳2019保存版」を発行しました。市民の生活の手引として防災や基本的な行政サービスに関する情報を掲載するほか、市の特色や新しい施策を紹介するなど、利便性の高い情報誌となっており、6月末までに全世帯に配布する予定です。
また、6月3日から、本庁舎内に「おくやみコーナー」を設置しました。亡くなった方の年齢や、受けていた行政サービス等の状況により、様々な手続が必要となりますが、申請書類などの作成や窓口へのご案内を「おくやみコーナー」でサポートすることにより、ご遺族の負担を軽減します。
今後とも、分かりやすい行政サービスの提供に努めてまいります。
次に、子育て支援についてです。
4月13日に、中津市村上記念童心館がオープンしました。続いて、4月15日には「のまさ小児科」に、市内では初めてとなる病気のお子さんを預かる「なかつ病児保育室セカンド・マム」が、さらに4月17日には、市内で8か所目となる大幡子育て支援センター「こもん」がオープンしました。また、4月29日には、なかつ・こどもいきいきプレイルームの利用者数が、当初の想定を大きく上回り、開所から1年4か月余りで10万人を突破しました。
6月30日には、中津文化会館で、子育て世代が親子で楽しめるイベントとして、NHKの「みんなDEどーもくん!」の公開収録を開催する予定です。
子ども医療費の助成については、通院は、これまで就学前児童だけに限られていましたが、7月1日からは、小中学生まで大きく拡大して助成してまいります。
今後も、切れ目なく隙間のない、子育て支援に取り組んでまいります。
次に、住み慣れた地域での暮らしを支援する取組についてです。3月8日、市内15校区のうち10校区目となる三光地区地域福祉ネットワーク協議会「ふくしの里ややま」が発足しました。また、3月18日には、大幡校区内に市内5か所目となる小規模多機能型居宅介護事業所が開設され、4月23日には、市内10か所目となる住民型有償サービス「小楠さんくすサービス」が発足しました。誰もがいくつになっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる地域づくりや介護サービスの基盤整備を行い、地域包括ケアシステムの深化、推進に繋げてまいります。
次に、企業立地の状況等についてです。
2月22日、大分県庁において、株式会社ヨロズの立地表明が行われました。自動車メーカーの新車種の受注に伴う設備の増強を行う予定です。また、4月22日には、株式会社中津急行の立地表明が行われました。中津港港湾用地を新たに賃借し、第9事業所を増設する予定です。さらに、4月24日には、葵機械工業株式会社の立地表明が行われました。受注増に伴い、建屋と機械設備を増設する予定です。これら3件の増設により、総額37億円の設備投資と新たに50人の雇用が生み出されます。今後も大分県と連携し、積極的に誘致活動に努めてまいります。
また、3月16日、中津体育センターにおいて「学生のための中津市企業説明会」を開催しました。学生に対して、中津市内の企業から事業内容や求める人材などの話を直接聴ける機会を提供することにより、地元企業への理解を深め、地域における就職促進を図ることを目的とするものです。市内に事業所を持つ36社と、市内外の高校・短大・大学の学生とその保護者、教職員等を合わせて246名に参加いただきました。今後も、市内の企業情報を発信し、市内における就職促進を図ってまいります。
また、近年急増する外国人居住者へ市からの情報をダイレクトに伝えるため、市報などの情報紙を多言語に翻訳できる情報発信ツールを導入しました。スマートフォンなどで無料で利用でき、英語や韓国語、ベトナム語などの9か国語に対応しています。まずは、このツールを多くの方に利用していただくため、企業で働く外国人技能実習生などを対象とした操作説明会を順次開催していきます。
今後とも、雇用創出、地域活性化に繋がる企業の活動を支援してまいります。
次に、1次産業の振興についてです。
「道の駅なかつ」は、4月26日に5周年を迎えました。昨年10月20日には、JAおおいた直売所オアシス春夏秋冬のレジ通過者が250万人を突破するなど、地域の皆さんをはじめ、多くの方々にご利用いただいています。昨年度の道の駅なかつレストラン、春夏秋冬などの売上合計は10億円を突破しました。また、4月13日には、「道の駅やまくに」がリニューアルオープンしました。今後とも、「道の駅なかつ」をはじめ、市内の道の駅が中津市の農林水産品や特産品のPR基地となるよう機能を充実するとともに、さらなるサービス向上に取り組んでまいります。
また、3月29日、中津魚市株式会社が破産手続開始の決定を受け、市場機能を停止しました。市においては、同日から関係機関との連絡体制を敷き、4月1日からは相談窓口を設置、翌日には、関係団体などによる緊急対策連絡会議を行いました。4月5日には、近隣市場運営者の協力により、大分県漁業協同組合中津支店と中津水産物小売業組合が連携して小祝漁港荷捌き所での相対取引を開始しました。これにより地元水産物の一応の流通が確保されましたが、各団体からは、安定的な流通について要望をいただいています。
市としましては、当面、この相対取引の状況等をしっかり見守るとともに、地方卸売市場の開設者及び卸売業者の許可権者である大分県と協議しながら、できる限り市民生活に影響が及ばないよう対応してまいります。
次に、観光の振興についてです。
3月20日、小幡記念図書館において「日本遺産やばけい遊覧ブランド発表会」を開催しました。今後は、やばけい遊覧公式ウェブサイトをはじめとするプロモーション事業を展開し、「やばけい遊覧ブランド」を確立すると同時に、活用してまいります。
また、東九州自動車道や中津日田道路の整備による市外から市内へのアクセスの向上や、ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックによる訪日外国人の増加を見据え、市内の観光サインの整備を進めています。平成30年度は、城下町に歩行者用サインを26か所、サイクリングロードに自転車用サインを17か所整備しました。
サイクリングロードについては、山国川の河川改修工事のため通行止めとなっていた「第四山国川橋」の橋梁修復が完了し、4月25日に開通しました。大型連休前の開通で、多くの方に新緑の耶馬渓でのサイクリングを楽しんでいただくことができました。
また、農家民泊については、昨年以降、耶馬溪地域で新たに3か所が開業しました。体験型の宿泊施設の充実により、滞在時間の延長や、観光の新たな楽しみ方に期待ができます。市としましても更なる推進、支援を行ってまいります。
次に、スポーツの振興についてです。大貞総合運動公園及び各施設のネーミングライツについて、ダイハツ九州株式会社との協定を継続し、引き続き「ダイハツ九州スポーツパーク大貞」や「ダイハツ九州アリーナ」の慣れ親しんだ愛称で活用できることになりました。また、5月11日には、ダイハツ九州アリーナの西側に設置したクライミングウォールの完成お披露目会と東京オリンピックの競技種目でもある「リード」競技の体験会を行いました。今後とも、スポーツ振興・スポーツ観光の拠点施設として、各種大会やイベント等を通じて、ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックに向けた機運醸成やキャンプ誘致に努めてまいります。
次に、教育の振興についてです。
教育委員会で取り組む「ほめあうまち なかつ」推進事業では、教育スーパーアドバイザー 菊地省三先生のご指導の下、学校・家庭・地域の協働で「ほめて、認めて、励ます」コミュニケーション力を育成しています。昨年度は、三光中学校区をモデル校区とし、「めざそう!あいさつ世界一」運動において、あいさつに一言添える「あいさつプラスワン」を広めるなど、さらに充実したものとなりました。こうした中、豊陽中学校の「ほめあう」活動が日本教育公務員弘済会教育賞の最優秀賞を受賞しました。
また、3月27日、中津市総合教育会議を開催しました。今回の会議では、第2期中津市教育振興基本計画を「中津市教育大綱」とすることを決定するとともに、「グローバル化に対応できる力の育成」や「新中津市学校の活用」について議論を行いました。今後とも、教育委員会と十分な意思疎通を図り、地域の教育の課題やあるべき姿を共有して、地域住民が年齢に関係なく学ぶことのできる「学びたい教育のまち」の実現を目指してまいります。
次に、インフラの整備関連についてです。3月3日、地域高規格道路中津日田道路のうち、三光本耶馬渓道路の中津インターチェンジから田口インターチェンジまでの区間が開通しました。中津日田道路の整備により、地域経済の活性化、新たな観光ルート及び災害時の安全な迂回路の形成が見込まれます。今後とも関係者と連携を図りながら、一日も早い全線開通の目標に向け、全力で取り組んでまいります。
次に、自治体間の連携についてです。
3月28日、中津市民病院において、九州周防灘地域定住自立圏を構成する各自治体の関係者出席のもと、ビジョン懇談会を開催し、各地域の課題や進捗状況、今後の取組などについて意見をいただきました。今回は、圏域における市民病院・小児救急センターの役割について理解を深めていただく目的で、現地見学も併せて実施しました。
また、5月7日には、吉富町から定住自立圏への加入を検討したい旨の意向が示されました。中心市として、同町の加入に向けて調整を進めるとともに、今後とも、自治体の枠組みを超えた取組を積極的に進め、圏域全体の発展に努めてまいります。
最後になりましたが、昭和4年に中津市制が施行され、本年4月20日で90周年を迎えました。市制施行90周年記念としては、先に申し上げた「暮らしの便利帳保存版2019」の発行をはじめ、村上記念童心館の開館式典や「みんなDEどーもくん!」の公開収録などの事業を創意を凝らして、通年で実施していくこととしています。
90年に及ぶ先人のたゆまぬ努力と市民の皆様の市政へのご協力に、改めて敬意を表するとともに、感謝を申し上げます。
以上をもちまして、報告を終わります。議員の皆様方におかれましては、今後ともご指導ご協力いただきますようお願い申し上げます。