公開日 2019年09月02日
令和元年第2回定例市議会の開会にあたり、諸般の行政報告等を申し上げます。
まず最初に、耶馬溪町金吉地区山地崩壊災害の被災現場とその対岸の5世帯13名に発令しておりました避難勧告の一部解除についてです。
国及び県による原因究明と本格的な復旧工事が進み、地盤の動きを検知する伸縮計の動きもなくなったことから、対岸については、一定の安全性が確保されたため、九州北部地方の梅雨明け発表を受け、対象世帯及び地元住民の皆さんに説明を行い、8月9日、正午をもって、3世帯8名に対する避難勧告を解除しました。一年以上の長期間にわたり、避難生活を送られてきた対象世帯の皆様には、復旧工事へのご協力に感謝いたします。
残る2世帯5名に対する避難勧告は、復旧工事の完了をもって解除する見込みです。引き続き、一日も早い現地の復旧に努めますとともに、今後の防災対策に全力を尽くしてまいります。
次に、学びたい教育のまちづくりについてです。
8月3日、中津の新たな「学びの拠点」となる新中津市学校の開館にあたり、慶應義塾の長谷山塾長をはじめ関係者をお迎えし、オープニング式典を行いました。式典に続いて開催したパネルディスカッションでは、市内の高校生に「今、そして未来に求められる人材」をテーマに、自分たちや中津の未来について想いを語っていただきました。
今後は、福澤諭吉に関する共同研究や、慶應義塾の先生による市民講座などの新中津市学校の事業を通じて、福澤諭吉や中津市学校の教えを伝えていくとともに、慶應義塾との連携をさらに深め、中津から全国へ情報発信してまいります。
また、この日、早速、新中津市学校を利用して、「中学生のための英会話塾」を開講しました。明治に設立された中津市学校が英学校であったことを彷彿とさせますが、今後は、英語に限らず、小中高校生をはじめとする市民の学習の場として、また、交流の場として広く活用していただきたいと思います。
小・中学校における英語力向上の取組みにつきましては、6月及び7月に、小学校教員を対象とした英会話塾を開催しました。6月18日には、外国語教育推進校である緑ヶ丘中学校及び鶴居小学校で公開授業を行いました。
緑ヶ丘中学校の英語の授業の様子は、優れた授業実践の例として、大分県教育委員会の教育庁チャンネルでネット配信されることになっています。
また、如水小学校が算数の授業で行っている自ら「表現する」力を育てるための習熟度別指導が、学力格差解消に対する取組みとして教育総合誌の「総合教育技術」に取り上げられました。
今後とも、学力の向上に努めるとともに、子どもたちの可能性を拡げる取組みに積極的に取り組んでまいります。
次に、中津支援学校の防災教育の取組みについてです。同校は、災害弱者となる児童・生徒の命を守るため、保護者や地域住民を巻き込んだ実践的な避難訓練や防災学習にかねてから取り組んでおり、こうした活動が評価され、今年の安全功労者内閣総理大臣表彰を受賞しました。市としましても、地域が一体となった防災活動を支援し、より安全で安心な災害に強いまちづくりに取り組んでまいります。
次に、子育て支援についてです。 7月10日、第18回子ども子育て会議を開催し、本市の子育て支援施策のマスタープランである「第2期子ども・子育て支援事業計画」の策定に着手しました。委員をはじめ市民の皆様の意見をいただきながら、来年度からの5年間の「子育てしたくなるまちづくり」に向けた幼児教育・保育の充実策や放課後児童対策などの方向性を見出したいと考えています。
また、7月1日から拡大した小中学生の通院に係る子ども医療費の助成については、これまでに対象者のおよそ8割の方の申請がありました。引き続き、対象者の方の申請を促すとともに、制度の周知に努めてまいります。
さらに、10月1日からは、幼児教育・保育の無償化や未婚の児童扶養手当受給者への臨時特別給付金の支給と併せて、市独自で多子世帯の放課後児童クラブ利用料を助成するなど、新たな子育て世帯の経済的負担の軽減策に取り組みます。
引き続き、子育てしやすい環境の充実に努めてまいります。
次に、6月29日に開催した「男女共同参画週間記念講演会」についてです。今年度は、男性の家事ジャーナリストの山田亮さんを講師にお迎えし、「きっと毎日が楽しくなる!スーパー主夫のワーク・ライフ・バランス」と題して講演いただきました。講師の体験談を交えた講演で、男性参加者の姿も多く見られました。今後も、男女共同参画社会の実現に向けて取り組んでまいります。
次に、中小企業振興基本条例についてです。かねてから議会でもご議論いただいておりましたが、関係団体によるシンポジウムの開催や関係団体等の意見をお聞きし、市としましても検討を重ねてきました。現在、条例案の素案についてパブリックコメントを募集しているところです。今後、ご意見を踏まえて調製した条例案を12月議会に上程する予定です。
次に、企業立地の状況等についてです。
8月7日、中津市役所において、有限会社サンエイデンタルの立地表明が行われました。設備投資額は約4億円で、デンチャー(入れ歯や義歯)を製作する専用社屋の建設及びその製作・加工機械の導入が主な投資内容です。この増設に伴い、将来的に従業員は130人増やして198人とする計画です。今後とも、進出企業・地場企業の隔てなく、女性や若者が働きやすい企業の取組みを支援してまいります。
また、8月5日、女性起業家応援プログラム「NAKATSU ARCH」事業のキックオフ交流会を開催しました。女性ならではのアイデアを活かしたビジネス創出を支援するため、創業から事業拡大に至るまでの継続支援を行う事業で、支援機関等の関係者を含め約60名が参加しました。今後は、起業に必要な事業計画や資金調達などについて学ぶとともに、起業家同士の交流を図っていきます。
また、8月10日、ダイハツ九州アリーナにおいて、中津市企業合同就職面接会を開催しました。大学進学等で市外・県外に転出した来春卒業予定者や一般求職者、UIJターン就職希望者と市内企業とをマッチングし、市内の就労拡大と地域雇用の安定及び移住促進を図ることを目的としています。40社の企業と、学生・一般求職者併せて57名が参加しました。
今後とも、事業者や求職者のニーズを把握し、それぞれに応じた支援を行い、地域経済の活性化を図ってまいります。
次に、外国人技能実習生の受入れ環境づくりについてです。 市内で働く外国人技能実習生の増加に鑑み、7月4日、外国人との共生社会実現のための連絡会を開催しました。生活習慣の違い等によるトラブルを未然に防ぐため、地域、企業、外国人それぞれの立場から寄せられた意見を共有しました。
また、ごみの出し方については、ベトナム語などの6言語に翻訳した外国語版ごみ・資源カレンダーで周知を図るとともに、6月末から企業を訪問し、外国人向け「ごみの出し方説明会」を順次開催して、ごみの分別方法や出し方について直接説明をしています。
引き続き、地域、企業、外国人からの意見や要望等を把握、共有し、より良い共生社会の実現に努めてまいります。
次に、農林水産物の高付加価値化の取組みについてです。中津産6次産業商品のブランド「なかつ6次産業推奨品(なかつファイブスターストーリー)」の周知及び販路拡大のため、6月8日及び9日に行われた「横浜港大さん橋マルシェ」に出店し、推奨品の販売とPRを行いました。今後も、ラグビーワールドカップ会場でのイベントや東京日本橋で開催される「中津市まるごとPRイベント」などに参加し、推奨品のPRに努めてまいります。
次に、観光振興についてです。
8月5日、観光宣伝及び情報発信を行う観光PRパーソンとして、男性1名、女性1名の計2名に委嘱しました。今後2年間、市外のイベント等で中津市の観光PRを行うほか、観光ポスターやパンフレットのモデルとしても活躍いただきます。
また、ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピック開催などに伴い増える訪日外国人観光客の受入れ態勢充実のため、英語で案内を行う「中津市地域通訳案内士」の養成講座を7月20日から開講しました。25名の受講者は、9月7日までの全講座受講後、口述試験・登録申請を経て、「中津市地域通訳案内士」として、中津市内限定で、有償の通訳案内ができるようになります。
今後とも、中津の魅力を発信するとともに、観光客に対するきめ細やかなおもてなしに取り組んでまいります。
また、7月から8月にかけては、「中津祇園」、「市民花火大会」、「寺町とうろう祭り」、「やまくにGenryu夏まつり」、「耶馬溪湖畔祭り」、「禅海くんのミニ縁日」、「鶴市花傘鉾祭」など、市内各所でお祭りや地域イベントが開催され、多くの人で賑わいました。中津駅から耶馬溪のイベント会場までの送迎バス運行が通例となった行事もあるなど、山国川上下流域の相互交流と一体感の醸成が徐々に図られてまいりました。今後とも、これらの祭りやイベントを通じて、観光振興を図るだけでなく、地域の伝統文化の継承、市民の交流、賑わいや元気づくりを市民と一緒に進めてまいります。
次に、文化・スポーツの振興についてです。今年は、市内の小学校、中学校、高校の児童や生徒をはじめ、ママさんバレーボールチームやシルバー野球チームなど、子供から大人、高齢者まで幅広い世代の方がスポーツや文化の九州大会・全国大会に数多く出場しました。日ごろの練習の成果を発揮し、中津市そして大分県の代表として力一杯頑張ってきました。水上スキーの世界選手権では、山本雄一選手がアジア枠で総合2位の成績をおさめました。市民が年齢にかかわりなく文化やスポーツに親しみ、活躍できるよう今後とも支援してまいります。
次に、地域の拠点施設の整備についてです。8月5日、和田コミュニティーセンター新築工事の起工式を行いました。和田コミュニティーセンターは、生涯学習や地域コミュニティの拠点施設として、また災害時の避難所として利用されるだけでなく、地元消防団の車庫兼詰所と複合的に整備することで、防災機能を強化しています。公民館活動のさらなる充実に資するとともに、安全、安心な地域づくりの一翼を担う施設となることが期待されます。今後とも、地域の拠点施設については、その地域に必要な機能を集約し、より地域に密着した効率的な施設となるよう整備してまいります。
次に、生涯学習の取組みとしての図書館の利用促進についてです。
6月27日、中原公民館で高齢者向けの「出張お話し会」を開催しました。図書館司書が公民館へ出向き、趣味や健康について気軽に楽しめる本や日常生活に役立つ本を紹介するほか、図書館の便利な利用方法を説明しました。また、高齢者の方々でも楽しめる内容の紙芝居や絵本などを通じて、改めて本の魅力を感じていただきました。
また、7月26日から3日間、小幡記念図書館で「本のプレゼント」と題した除籍本の配布イベントを開催しました。子どもから大人まで600名以上の方が来館し、約3,000冊の本が新しい持ち主の元へ引き取られていきました。
今後も、市民が本に親しむきっかけを提供し、誰もが気軽に利用できる「市民の本棚」となるような魅力的な図書館づくりに取り組んでまいります。
次に、青少年育成の取組みとしての高校生による政策提言活動についてです。8月4日、中津青年会議所主催の「なかつチャレンジユニバーシティ2019事業」で、市内の高校生8チームによる政策提案がこの議場で行われました。新たな特産品の提案や、商店街の活性化策、財源確保の方策など自由な発想で様々なご提案をいただきました。これらの提案につきましては、今後、さらに議論を深めて、10月6日にプランコンテストとして、市民に向けて発表する予定とのことです。市としましても、未来の中津市を担う若い人たちの活動を歓迎するとともに、協力・支援してまいります。
以上をもちまして、報告を終わります。議員の皆様方におかれましては、今後ともご指導ご協力いただきますようお願い申し上げます。