公開日 2019年11月22日
令和元年第3回定例市議会の開会にあたりまして、行政報告を行います前に、今後の市政運営についての私の考え方について、その概略をご説明いたします。
このたび、二期目の市政運営を担わせていただくことになりました。今回の市長選挙は無投票でありました。それだけに、責任の重さに改めて身の引き締まる思いです。それ故、二期目は、より一層現場へ赴き、市民の声を聴き、現場をしっかりと見て、政策に反映させる「現場主義」をさらに徹底し、市民の心を「心」とした施策を行ってまいります。そうすることで、全体を俯瞰しつつ細やかな視点を持って、市民が暮らしの中で施策の効果を実感できる市政を推進してまいります。
さて、一期4年間は、「みんなでつくる暮らし満足No.1」を目標に掲げ、安心・元気・未来・連携の4つの柱で市政を進めてまいりました。二期目につきましても、この基本的な考え方に立って、未来へ向けて市政を推進いたします。
一方で、近年頻発する大規模災害への備え、人口減少と高齢化の進展、特に中山間地域をはじめとする高齢化が顕著な地域においては、人口減少も加速し、コミュニティの維持に不安の声が聴かれるようになりました。また、若年女性の市外への転出超過、中心市街地の活性化など、この4年間で新たに浮き彫りになった課題・継続した対策が必要な課題があります。これらの課題の解決には、行政だけではなく、市民一人ひとりの力、民間事業者の力、大学や報道機関などの力に加え、中津の自然や歴史など、ありとあらゆる中津の力・魅力・強みを総結集して取り組んでいかなければなりません。
そして、こうした取組みを市民の皆様に丁寧にご説明し、また、市内外に発信することで、「住みたい・帰りたい・行ってみたいまち」と思っていただける中津市にしていきたいと思っております。
様々な課題が山積しておりますが、ふるさと中津の創生に向けて、市民の先頭に立って取り組んでまいりますので、議員の皆様方におかれましては、何卒ご協力くださいますようお願い申し上げます。
それでは、諸般の行政報告等を申し上げます。
まず最初に、国土強靭化地域計画についてです。
先月の台風19号をはじめ、最近の大雨などにより、全国各地で大きな被害が生じています。亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、ご遺族や被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
近年、日本各地で様々な災害が起き、また、南海トラフを震源とする巨大地震などの大規模地震の発生が予想されるなど、災害への備えが喫緊の課題となっております。こうした状況に鑑み、あらゆるリスクを想定した対策を盛り込む国土強靭化地域計画の策定に着手いたしました。令和2年度中に策定いたします。今後とも、大規模自然災害から住民の生命・財産を守り、地域社会への致命的な被害を回避するとともに、迅速な復旧・復興を可能とする、強くしなやかな地域づくりにまい進してまいります。
次に、九州周防灘地域定住自立圏についてです。10月31日、圏域の首長が集まり、懇談会を開催しました。吉富町の定住自立圏への参加に向けた取組みの報告と来年4月からの次期共生ビジョンの概要や圏域での取組み等について意見交換を行いました。今後もこの定住自立圏の結びつきを維持し、積極的に連携して、中心市として圏域全体の発展に努めてまいります。
次に、中津市歴史博物館をはじめとする拠点施設の取組みについてです。
11月1日、中津市歴史博物館、愛称「なかはく」がオープンしました。「なかはく」は、「中津市の貴重な文化財を収集・研究・保存・活用し未来へ継承する拠点」、「歴史と観光を結ぶ拠点」、「市民が集い、学び、交流し、活躍する文化の発信拠点」として活用してまいります。
そうした中、同月13日には、国文学研究資料館のロバート・キャンベル館長が来館され、全国の自治体としては中津市が初めてとなる「新日本古典籍総合データベースの構築協力に関する覚書」を締結しました。国文学研究資料館は、各地の重要な古典籍をインターネット上に公開する取組みを行っており、この覚書の締結により、中津市の貴重な資料が国内外に広く公開されることになりました。
また、4月にオープンした村上記念童心館では、11月3日、高校生が実行委員会を組織し、第1回童心館まつりを開催しました。中高生が躍動感あふれるバンド演奏やダンスを披露し、また、中津東高生によるワクワク・ドキドキの科学実験コーナーが設けられるなど、童心館のロゴマーク「DO-SHINE」のとおり中高生が大いに輝きました。さらに、11月30日には、旧下毛地域の児童や保護者の利用促進を図るための「童心フェスタ」を、12月8日には子育て中の外国人相互の交流を促進するための「なかつ多文化子育てサロン」を開催する予定です。
また、8月に開館した新中津市学校では、慶應義塾福澤研究センターの西澤直子教授を講師にお迎えし、10月12日及び11月9日に、慶應義塾との共同研究の一環である市民講座を開催しました。立ち見が出るほど多くの市民が受講し、改めて福澤先生や中津市学校の歴史等について学ぶ有意義な機会となりました。
また、福澤先生が一万円札の肖像になって、今年で35周年です。記念事業として、10月12日から12月1日まで、福澤記念館で「福澤諭吉とスポーツ」と題した企画展を開催しています。10月20日には、慶應義塾福澤研究センターの都倉武之准教授をお迎えし、「福澤諭吉の『帝室論』」と題した講演会を開催しました。
今後も「なかはく」をはじめ、村上記念童心館、新中津市学校などの拠点施設を活用した取組みを進めるとともに、これらの施設の集積を活かして周辺一帯の施設と連携させ、人を呼び込み、中心市街地の賑わいづくりにも繋げてまいります。
次に、障がい者アート作品展についてです。昨年の全国障害者芸術・文化祭による障がい者アートの機運の高まりを受け、第1回障がい者アート作品展を、10月16日から23日まで、イオンモール三光で開催しました。障がい者アーティストによる個性あふれる絵画や工芸などの作品164点は、多くの来場者の目を楽しませました。
次に、産業振興についてです。
11月14日、九州市光工業株式会社から、自動車用ランプの成形機等の増設のため、約5,000万円の設備投資と3名の新規雇用を行う予定との報告がありました。今後とも大分県と連携し、積極的な誘致活動を行うとともに、将来を見据えた効果的な企業誘致を推進するため、企業のニーズに対応できる工場用地の確保に努めてまいります。
また、9月14日、道の駅なかつ施設内のJAおおいた直売所のレジ通過者が300万人に達しました。今後も多くの皆様に利用いただける施設となるよう、管理運営を行ってまいります。
また、中津産6次産業商品のブランドである「なかつ6次産業推奨品(なかつファイブスターストーリー)」に「YABKEY HONEY SPREAD」、「発酵晩茶」、「おいしいこめみそ」の3商品が追加され、これにより「なかつブランド」の認証は、計13事業者21商品となりました。
11月7日及び8日には、東京日本橋において、物産展「中津市まるっと"味力"をつめこんだけん」を行いました。平日にもかかわらず、6次産業推奨品などの特産品を買い求める多くの来場者で賑わい、併せて、観光や移住施策などの中津の魅力を大いにPRしました。
次に、スポーツ振興についてです。
今年も多くのスポーツ選手が全国大会出場を果たし、好成績を残しています。中でも、第47回全日本社会人ソフトテニス選手権大会ダブルス男子45歳以上の部で片峰俊和選手・篠原和彦選手のペアが優勝し、大会2連覇を果たしました。また、第65回桂宮杯全日本水上スキー選手権大会でも、オープンクラスで山本雄一選手が総合優勝・2連覇を達成したほか、東九州龍谷高等学校の飛瀬綾音選手が17歳以下のクラスで、中津北高等学校の黒田弥礼選手が21歳以下のクラスで、それぞれ総合優勝を果たしました。また、東九州龍谷高等学校女子バレーボール部が、春高バレーでの準優勝に続き第74回国民体育大会においても準優勝を収め、その実力の高さを「東龍」の名とともに全国に轟かせています。
また、10月11日、中津市は「共生社会ホストタウン」に登録されました。共生社会ホストタウンとは、パラリンピアンとの交流をきっかけに、共生社会実現のためのユニバーサルデザインのまちづくりや、心のバリアフリーに向けた取組みを実施する自治体のことで、マレーシアのパラバドミントン代表チームの事前キャンプ受入れや小学生とのふれあい交流事業などの取組みが評価されてのことです。今後とも、市民がパラリンピアンやパラスポーツと触れ合う機会を設け、障がいやパラスポーツに対する理解・認知の向上を図ってまいります。
さらに、11月10日には、オリンピックデーラン中津大会を開催しました。過去最高となる1,107名の参加があり、オリンピックの基本精神の理解と東京オリンピックへの機運醸成がさらに高まったと感じています。 今後ともスポーツの振興に積極的に取り組み、市民の健康増進やスポーツへのふれあいの場の提供に努めてまいります。
次に、観光振興等についてです。
ラグビーワールドカップ2019では大分で5試合が開催され、中津市内の宿泊施設にも多くの外国人観光客が宿泊しました。市内はもとより、大分、別府、福岡市内のホテルや観光案内所等に英語版の観光パンフレットを設置するとともに、試合開催日には、大分駅南口駅前広場のファンゾーン付近において、試合を観戦に来られた外国人観光客へ英語版パンフレットを配布するなど、中津観光を大いにPRしました。さらに、県内に滞在中の観光客向けに英語ガイドが添乗する市内観光ツアーを試合日前後に実施し、外国人観光客を中心に参加いただきました。
また、秋の観光シーズンを迎え、三光コスモス祭りや、やまくにかかしワールド、本耶馬渓・耶馬溪の紅葉が多くの観光客の目を楽しませる中、市内各地でも様々なイベントが催されました。
9月14日には、大分県中津土木事務所及び地元観光関係者等の協力の下、サイクリングイベント「やばけいゆ~らんクイズラリー」を開催しました。県内外からの116名の参加者の方々に、耶馬溪サイクリングターミナルから青の洞門公共駐車場を往復する約23キロメートルのコースのサイクリングを、クイズを解きながら楽しんでいただきました。
10月26日には、「ONSENガストロノミー・ウォーキングin三光コスモスまつり」を開催しました。ウォーキングに加えて、唐揚げやはもカツなど中津の食や飲み物を楽しみ、最後は温泉に入って疲れを癒すことができるイベントとして、昨年5月の本耶馬渓に続く開催で、大変好評でした。東は大阪から西は長崎まで118名に参加いただきました。
また、日本遺産「やばけい遊覧」の取組みでは、10月17日、耶馬溪町平田地区で地元の住民と市外のクリエイターたちが協働して、耶馬渓の魅力を発信するイベント「平田集落パブリックデイ」を開催しました。日本遺産を契機とした、住民主導による地域活性化の動きが始まっています。
また、10月22日、コアやまくにに山国町地域婦人団体連合会による「里カフェ」がオープンしました。地元食材を使った定食などで、ふるさと山国の味を提供します。
今後とも、中津観光を積極的に発信するとともに、観光を契機とした地域活性化を支援してまいります。
次に、商店街などの中心市街地の賑わいづくりについてです。
10月27日、新博多町商店街では今年で10年目となる「南部自由市場」が開催されました。また、中津市・吉富町・豊前市の3市町の連携イベント「県境をこえて電車でハロウィン」が開催されました。JR中津・吉富・三毛門の3つの駅を巡るスタンプラリーや、駅周辺でのイベントがハロウィンを盛り上げました。中津市では日の出町商店街で「日之市大作戦」と銘打ったイベントが行われました。
また、11月15日には、中津駅南口のミニ洞門広場で、第10回Loveファンタジア中津のイルミネーション点灯式が行われました。中津商工会議所青年部が地域活性化のため行ってきたこの事業も、冬のイベントとして定着し、鮮やかなイルミネーションを見るため、多くの市民が訪れるようになりました。
今後も、地域住民や団体が主導する中心市街地の活性化の取組みの継続・定着に向けて支援してまいります。
次に、学びたい教育のまちづくりについてです。
今年度の「ほめあうまち なかつ」推進事業は、中津中学校区で実施しています。9月には、教育スーパーアドバイザーである菊池省三先生をお招きして、中津中学校での全員参加のモデル授業や、職員研修、小楠校区地域福祉ネットワーク等と連携した「共助の意識が高い地域づくり」と題した地域講演会などを開催しました。
児童生徒の学力向上に向けた取組みとしては、10月10日から2日間、緑ヶ丘中学校で、高知県教育委員会スーパーバイザーである西留安雄先生を講師にお迎えして、教師を対象とした「全員活躍型授業研究会」を開催し、生徒全員が主体的に参加する授業の進め方などを学びました。
また、英語でのコミュニケーションを通して、実践的英語力や異文化の知識を身につけることを目的として、10月26日にはAPU交流会・バスツアーを、11月2日から2泊3日でイングリッシュキャンプインAPUを行いました。
また、10月12日、中津南高校耶馬溪校の体験入学会が行われ、市内の中学3年生62名と保護者約20名が参加しました。同校の特色ある教育活動や進路状況についての説明のほか、授業見学や各コースに分かれての体験授業を行いました。
さらに、11月15日、中津東高等学校で、神戸大学の大川剛直教授による「スマート社会の次に来るもの」と題した講義が行われ、「スマート農業」や、今後のAI技術の発展によってもたらされる社会変化についてお話いただきました。
今後とも、積極的に学ぶ機会を提供し、子どもたちが自ら学ぶ「学びたい」気持ちを育んでまいります。
次に、高校生による政策提言活動についてです。10月6日、小幡記念図書館において、中津青年会議所主催の「なかつチャレンジユニバーシティ2019」発信事業が行われ、市内の高校生8チームが政策提言のプレゼンテーションを行いました。多くの市民が参加する中、企業説明会の活性化やプログラミング教育の充実など中津市の人口増加のための様々な提言がなされました。市としましても、将来の中津市を担う若い人たちの提案を参考に、今後とも、より良い未来づくりに取り組んでまいります。
最後に、環境共生都市への取組みについてです。 マイクロプラスチックの海洋汚染など、ごみ問題が環境へ及ぼす影響は世界規模のものとなっており、私たち一人ひとりが自らの問題として、具体的な取組みを着実に行っていく必要があります。ごみの減量・分別や再資源化などの取組みをより一層浸透させるため、地域のサロンや自治会、学校、企業などのあらゆる機会・場所を捉えて「ごみ・リサイクルミニ集会」を開催しております。今年度は、これまでに136か所で開催しました。
またこうした中、11月4日、ダイハツ九州スポーツパーク大貞において開催されたアースデイ中津2019に参加し、環境基本計画や「きれまち隊」のPR、廃油石鹸の配布などを通じて、環境保全の取組みを呼びかけました。
今後とも、ごみの減量・分別・再資源化の取組みを進めるとともに、ごみ問題と密接な関係にある環境の保全・環境との共生についても取り組んでまいります。
以上をもちまして、報告を終わります。議員の皆様方におかれましては、今後ともご指導ご協力いただきますようお願い申し上げます。