今年は厳しい春です。新型コロナウイルスが日本中、世界中を不安に陥れています。正体をつかみきれないウイルス感染症が人の健康を蝕むばかりか、市民生活や経済活動に大きな影響を与えています。懸命の取り組みにもかかわらず感染は拡大し、専門家によると長期化すると言われています。
　外出自粛が続くと不安と苛立ちが生まれます。何としてもみんなの力で耐えてこの難局を乗り越え、当たり前だったあのおだやかな日常と未来に向けた活力を取り戻さねばなりません。
　中津市も4月末、補正予算を組み、医療、市民生活、経済の面で対策を講じています。発熱外来の設置支援、マスクの購入、休校中の生徒の学力支援、高齢者の健康調査、中小企業の資金繰り支援、事業継続のための家賃補助、国の給付金の支給事業、市民相談などしっかりやっていきます。
　そのうえで、今一度、市民の皆様へのお願いです。「3つの密」を避け、県境を越える移動を極力自粛してください。また、感染して苦しんでいる方や不安と戦いながら医療の最前線で一生懸命頑張っている方の思いを理解し、温かい応援をお願いします。
　人間はウイルス感染拡大の対応に追われる毎日ですが、自然界の営みはいつもと変わりません。春になって椿の花蜜をメジロが吸いにやってきました。冬を越えエネルギーを蓄えた桜は、種類ごとに開花時期を変え美しく咲き誇り、新葉が出てきました。菜の花、ネモフィラ、チューリップ、ツツジ、藤の花も春を彩ります。そしてこのように多彩な春の花々がそれぞれ存在感を示し季節は初夏に向かいます。
　こんな自然を心ゆくまで味わいたいのですが、今年はなかなか楽しむことができません。でも、自然は人間に癒しと元気と勇気を与えてくれます。「負けるな。その先に花開く」と言っている気がします。一緒に頑張り抜きましょう。

（市報なかつ令和2年5月15日号掲載）