公開日 2020年06月24日
新型コロナの影響で、大会やイベントが次々に中止になっています。とりわけ若い高校生にとって、夢にみた大会が中止、目標が目の前から消えてしまった喪失感は大きいでしょう。スポーツであれ、文化活動であれ、高校入学時から練習を積んできた高校生にとって、成果を表す場が奪われたことは悔しくてやりきれない気持ちでしょう。その心情を思うとこちらもつらいです。
そんな高校生にアドバイスを求められました。「くじけずにやれることをすべてやって、自分の将来に繋げてほしい」と月並みな答えなのですが、二つのことを加えました。
一つは、人は経験を積むほど成長します。普段は経験しえない今の環境は、自分で考える、家族と過ごす、自然を見る、本を読む、知らないことに目を向けるなど、行動を自分で決める、自己決定と自己責任の準備や訓練になっていると思います。このことは福澤先生の「独立自尊」の教えにも通じます。自分の進むべき道を自分で決められる知力と体力と気力を備え、そして自分と他人を大切にする精神を持った人間になろうとする努力です。自分が今感じていることや心の動きを書き留めてみてはいかがでしょう。
もう一つは、信頼できる「友を得る」大切さです。人生の難事を迎えた時に一番心強いのは、信頼できる人がいることです。人と人のつながりや自分を支えてくれる「心の友」は逆境の時に生まれることが多いのです。互いに理解し励ましあえる人です。人は畢竟一人で生き抜かねばなりませんが、所詮一人では生きられません。だから、一人で生きようとする力と、窮地に立った時に信頼し精神的に助けてくれる人の力が必要です。
「禍福は糾える縄の如し」。今日の悔しさや苦労が、明日の喜びや夢の実現に代わる。それは真実、ともに頑張りましょう。
(市報なかつ令和2年7月1日号掲載)