令和3年第1回定例市議会提出議案説明書

公開日 2021年02月22日

 本日ここに、令和3年第1回定例市議会を開会し、提出しました令和2年度各会計別補正予算及び令和3年度当初予算のほか、諸議案のご審議をお願いするに先立ち、その概要についてご説明申し上げます。

 まず、議第1号令和2年度中津市一般会計第7号補正予算につきましては、3億631万9千円を減額し、補正後の予算総額は533億1,893万1千円となります。
 その主なものとしましては、歳入では、市税は4,820万円の減額となり、地方消費税交付金は1億4,100万円の減額となっています。
 歳出につきましては、国の令和2年度第3号補正予算に対応し、道路、住宅、小中学校の整備費など、約7億7千万円の建設事業費を令和3年度当初予算から前倒して実施するほか、児童関連施設の感染予防対策にかかる衛生用品等の購入経費を計上しています。また、定年前早期退職者にかかる退職手当を計上しています。そのほかは、事業費の確定や決算見込みによる減額などであります。
 繰越明許費につきましては、情報管理事業費外57件の追加と2件の変更を計上しています。

 議第2号令和2年度中津市国民健康保険事業特別会計第4号補正予算から議第9号令和2年度中津市下水道事業会計第1号補正予算につきましては、事業費の確定や決算見込みによるものが主な内容であります。

 引き続きまして、議第10号令和3年度中津市一般会計予算につきまして、予算編成の基本方針及び施策の概要をご説明申し上げます。
 まず、国の令和3年度当初予算案におきましては、新型コロナウイルス対策にかかる経費が膨らんだほか、社会保障費の増などから、一般会計で106兆6,097億円となり、当初予算段階では9年連続で過去最大の規模を更新しました。
 歳入では、税収が新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済状況を反映し、9.5%減少すると想定されており、また、新規国債発行額は7年ぶりに40兆円を超えました。その結果、基礎的財政収支は20兆3,617億円の大幅な赤字となる見込みであり、財政健全化への道のりが一層厳しくなっています。
 本市におきましても、税収において法人税を中心に大幅な減収が懸念されましたが、国の地方財政対策で示された税収の減少率5.4%を下回る、3.3%の減少を見込んでいます。地方交付税は、地域社会のデジタル化を集中的に推進するための経費が創設されたことや、個別算定経費の増などにより、前年度比0.4%の増となっています。このほか、消費動向の低迷による地方消費税交付金の減額や、国税の減収に伴う譲与税等の減額などもあり、一般財源総額は前年度より約2億1,700万円の減となりました。自主財源比率がおよそ34%と依然として国に依存した財政体質であることや、新型コロナウイルス感染症対策の長期化への懸念、少子高齢化による社会保障費の増加、施設の老朽化対策など歳出面での増加が見込まれることから、今後も国の動向を注視するとともに、持続可能な行政運営に留意していく必要があります。
 このような中、令和3年度の予算編成においては、新たな価値観や柔軟な発想、先端技術、民間活力等を積極的に取り込みつつ、感染症対策の徹底とコロナ禍で落ち込んだ地域経済の再活性化を図る「新たな感染症に対応し得る地域」、県北地域の拠点都市として「都市部の企業や若者に選ばれる地域」を目指すことを指針としました。
 以上のような考えでまとめた令和3年度一般会計当初予算の規模は、対前年度比で0.1%増の416億623万2千円となりました。先に述べました令和2年度第7号補正予算における前倒し額を合わせると約425億円となり、当初予算としては実質的に過去最大規模となっています。

 以下、予算案について、概要をご説明申し上げます。

 まず、歳入予算の市税及び地方交付税につきましては、先程申しましたとおり、市税では対前年度比で3.3%の減、地方交付税では0.4%の増を見込んでおります。起債の発行額につきましては、対前年度比7.4%の減となり、借入金の着実な償還とあわせ、令和3年度末起債残高は減少する見込みです。

 次に、歳出につきましては、「なかつ安心・元気・未来プラン2017」の施策の大綱となる「安心づくり」「元気づくり」「未来づくり」の3つの柱に沿った新規・拡充施策を中心に、ご説明申し上げます。

 1つ目の柱、「安心づくり」です。

 まず、「災害に強いまち・災害に強い地域づくり」についてです。
 1月の寒波により市内の広範囲で発生した漏水被害および給水制限を教訓に、最も重要なライフラインである「水」の安定供給のため、三口浄水場の配水能力強化を加速させます。配水池の増築については、既に用地造成を完了しており、令和3年度より整備を開始することに加え、可搬式ろ過装置を追加導入するなど、当初の計画より前倒しします。
 また、風倒木被害により停電が発生することを未然に軽減するため、電力会社と協力し、リスクの高い箇所の伐採を進めます。このほか、かねてより重点的に取り組んできました情報伝達手段の強化に関し、WEB版ハザードマップについて、避難所や浸水想定区域の表示機能を追加・改良します。

 次に、「地域医療・福祉体制の確保」についてです。
 新型コロナウイルス感染症対策として、昨年末よりワクチン接種への準備を行っております。迅速かつ安定した接種体制の確保に万全を尽くしてまいります。また、長期間の外出自粛により家庭内で様々な影響が懸念されるため、要支援児童の見守り体制を強化します。

 次に、「中津市版地域包括ケアシステムの構築」についてです。
高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしが続けられる仕組みを、あらゆる主体と連携しながら構築していきます。主な施策としましては、地域住民が行う生活支援や介護予防サービスの充実を図るため、組織作りを支援するコーディネーターの配置を拡充するほか、認知症の方を地域で支援するため、サポーターの養成講座や家族が気軽に集まれる場所を拡充します。

 次に「健康寿命延伸に向けた取り組み」についてです。
 中津市は、県内でもがん検診などの受診率が低い状況が続いており、コロナ禍でさらに悪化しています。こうした状況を少しでも改善するため、インターネットによる健診の事前予約システムを構築し、利便性を向上させるほか、SNSを活用した情報発信を行います。このほか、子宮頸がん検診について、新たにHPV検査を追加し、早期発見に努めます。

 次に「みんなが子育てしたくなるまちづくり」についてです。
 中津市は、子どもの発達段階に応じたきめ細かな支援策のパッケージを「子育て2020(フレーフレー)プロジェクト」と銘打って展開しております。
 まず民間保育施設の人材確保対策として、新人保育士に対し就職支援金を支給するほか、保育士資格を持たない保育補助者を雇用する費用を支援します。
 就学児童にかかる支援としましては、放課後児童クラブ運営において重要な学校との連携を推進するアドバイザーを増員配置するほか、待機が発生する地域の児童を、なかつ中央児童クラブで受け入れるための移送経費を計上しました。
 このほか、子育て中の親同士のコミュニティづくり支援、里親制度の普及啓発、発達相談会の拡充など、子育て世帯のニーズに応じたきめ細かなサービスを充実させます。

 次に「誰もが生き生きと暮らせるまちづくり」についてです。
 高齢者や障がいのある方が、住みなれた地域で安心して暮らし続けていくため、成年後見制度の活用を推進してきましたが、令和3年度より各種制度や関係機関との調整機能を持つ中核機関を立ち上げます。
 また、普段は支援を受けていない在宅の障がい者について、介護者が不在となった場合に一時的に受け入れを行う施設を確保します。

 次に「安心で繋ぐ地域づくり」についてです。
 福祉行政の基本方針と地域住民による福祉課題解決について定める地域福祉計画について、第四次計画の策定に着手します。人口減少時代における福祉のあり方について、多くの皆様の意見が反映されるよう努めます。
 また、特に人口減少が大きく集落機能が低下しつつある中山間地域において、自主性を損なわず様々な活動が継続できるよう支援するため、田舎困りごとサポーターを配置していますが、引き続き各支所3名体制を維持し、不安感の低減に努めます。

 次に「地域の拠点施設確保」についてです。
 旧下毛地域の公共施設について、地域の拠点として防災機能や地域コミュニティの維持活性化に必要な機能を維持しつつ、「公共施設管理プラン」の方針に沿って整備しております。令和3年度は、三光公民館及び西谷地区公民館の整備が完了しますが、新たに耶馬溪公民館の整備を進めてまいります。

 続きまして2つ目の柱、「元気づくり」です。

 まず、「中小企業の人材確保と振興」と「若者や女性が働きたいまち」についてです。
コロナ禍における中小企業の資金繰り対策として、大分県の特別融資制度を活用した際の利子補給にかかる経費を計上したほか、人材不足解消及び技術力向上に対する支援や、外国人就労者の地域との共生を推進します。
 また、大分県が福岡市に設置した若者向けコミュニティスペース「dot.」を活用し、地元企業のPRに努めます。

 次に「企業立地の促進と生産性向上への支援」についてです。
 人口減少の抑制や若者の雇用の確保、地域経済の活性化に大きく貢献する企業立地について、近年好調な投資が続いています。コロナ禍を契機とした地方分散や国内回帰といった社会変化を好機と捉え、企業立地のさらなる推進を図ります。

 次に「農林水産業における担い手育成と収益性向上」についてです。
 中津市では農・林・水・畜産業がそれぞれ営まれており、各産業において担い手の確保や生産性の向上、高付加価値化をすすめ、持続可能なものとなるよう努めます。
 農業においては、新規就農者を支援するため、就農初期にかかる費用負担の軽減や中高年・移住者の就農、経営の継承など、総合的に支援する取り組みを始めます。
 林業においては、森林環境譲与税を活用し、民間公共建築物への市産材利用を促進する補助制度を創設します。
 水産業においては、若者の就業を経済的に支援するため、準備金の給付を行います。
 このほか、一次産業に特化した地域おこし協力隊の雇用を進めており、今後も担い手確保対策を充実させていきます。

 次に「山国川上下流域を結ぶ観光振興」についてです。
 観光誘客に関しましては、新型コロナウイルス感染症の状況を注視しつつ、慎重に取り組む必要があります。まずは、車で1時間程度の近距離への旅行、マイクロツーリズムを推進するため、複数の媒体を活用したプロモーション事業に取り組みます。
 サイクリングロードの活用については、県内自治体との広域連携を図るため旅行商品の造成を行うほか、道の駅なかつを拠点としたレンタサイクルについて実証実験を行います。
 ハード事業では、中津日田高規格道路「青の洞門・羅漢寺インター」の完成に合わせて、道の駅耶馬トピア駐車場の整備を行うほか、猿飛千壺峡や競秀峰など、美しい自然景観を持つ観光地の遊歩道整備を行います。

 次に「定住に向けた移住戦略」についてです。
 現在、空き家バンクに登録している住宅の改修費用を助成しておりますが、「新築」の場合も対象とするよう制度を拡充し、定住者の確保に努めます。また、旧下毛地域で新たに結婚生活をスタートさせる若年者世帯に対し、経済的な支援を行います。

 次に「公民連携・政策連携によるにぎわいづくり」についてです。
 人口減少と高齢化を踏まえ、中心市街地において公共施設の再配置や民間機能の誘導を図るため、立地適正化計画の策定に取り組んでいます。
 また、商店街のにぎわいづくり支援としまして、商店街自らが考え、実践する活性化イベントの取り組みを引き続き支援します。

 次に「ふれあい親しむ文化・スポーツ環境」についてです。
 昨年度開館した歴史博物館「なかはく」では、伝染病や今後の大河ドラマに題材を求めた展示、国民文化祭のレガシーを受け継ぐアート企画など様々な企画展を開催します。
 また、スポーツ環境では、東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンとしてオリンピアン等による講演会やスポーツ教室を開催し、市民への機運の醸成を図ります。

 最後に3つ目の柱、「未来づくり」です。

 まず「感染症に対応した教育環境の整備」についてです。
 昨年、ICT教育を加速させる「GIGAスクール構想」のもと、児童生徒1人1台ずつタブレット端末を整備し、すでに多くの学校で授業に活用されておりますが、より効果的な活用を図るため、機器の管理を行うサポーターの配置や、専門家による指導研修を行います。また、仮にオンライン学習を余儀なくされた場合でも、家庭の経済状況にかかわらず通信環境を確保するため、就学援助費を拡充しています。

 次に「子どもの可能性を拡げる教育」についてです。
 教員の働き方改革を一層推進していくため、教育支援人材の配置拡充に努めています。令和3年度は、スクールソーシャルワーカーや日本語指導員、GIGAスクールサポーターの配置・拡充を行います。また、学校現場における英語教育の質の向上を図るとともに、市民に対しても広く英語習得の場を提供するため、国際化推進員を新たに任用します。
 さらに、課外に基礎学力を定着させる学び直しの場として取り組んでいる「学びのススメ土曜塾」について、全中学校区で開催するなど参加しやすい環境を整備します。

 次に「地域で活躍する人材の育成」および「地域コミュニティの活性化」についてです。
 旧下毛地域で唯一の高校であり、常に地域と共に歩んできた中津南高校耶馬溪校が、現在定員割れの状況にあります。今後も同校を存続させるべく、通学費支援を継続するほか、小規模校の長所を生かした取り組みを支援します。また、ふるさとに対する理解や愛着を深めるため、子どもたちへのふるさと学習を推進するほか、新中津市学校において、小幡篤次郎に関する慶應義塾との共同研究を進めます。

 次に「環境共生都市なかつの推進」についてです。
 環境への負荷をできる限り低減する循環型社会の形成を促進し、ごみ減量・資源化などの環境施策をさらに加速させるため、ごみの分別区分をより細分化し、7月から容器包装プラスチックの分別収集を始めるほか、びん・缶、ペットボトルを月2回の収集とし、利便性を高めます。また、ごみ袋有料化制度の実施を見据え、ごみ袋の作製・販売や市民への広報にかかる経費を計上しています。
 このほか、市民から問い合わせの多かった「生ごみキエーロ」の普及を進めてまいります。

 次に「命を守りくらしを支える交通網の整備」についてです。
 道路は市民生活や経済活動に欠かせない重要なインフラであり、市の将来計画や地元要望を踏まえ、計画的に整備を行っているところです。
 中でも通学児童の安全確保は重要であり、関係機関と協議を行い、危険度の高い場所から順次整備を行ってまいります。

 最後に「公共交通対策の新たな枠組みの検討」についてです。
 今後の人口の減少や高齢化を踏まえ、将来に亘って持続可能な新たな枠組みを検討していくため、公共交通網形成計画の見直しを行います。

 以上が、令和3年度当初予算に計上している主な施策です。

 なお、これら施策の推進にあたっては、市民サービスの向上や行政事務の効率化を図るため、ICT技術を活用した変革、いわゆる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が不可欠です。中津市では、この自治体DXの推進のため、その司令塔となるポストを設置し、専門知識を有した人材を外部から迎え入れるほか、業務改善に必要なツールの導入経費を計上しています。また、国の進めるシステム標準化にあわせ、住民情報システムのクラウド化に着手します。

 債務負担行為につきましては、議会だより印刷業務外6件を計上しています。

 引き続きまして、各特別会計の予算についてご説明申し上げます。

 議第11号令和3年度中津市国民健康保険事業特別会計予算から議第21号令和3年度中津市下水道事業会計予算につきましては、それぞれの事業の動向を見込んだ所要経費などを予算措置しています。
 なお、議第20号 中津市水道事業会計予算につきましては、「安心づくり」の主要事業としてご説明したように、水の安定供給を図るため、三口浄水場の配水能力強化にかかる経費を計上しております。

 次に、予算外議案のうち主なものについて、その概要をご説明申し上げます。

 議第23号中津市職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正については、新型コロナウイルス感染症により生じた事態に対処するための防疫作業に従事する職員の、特殊勤務手当の特例を設けるため条例を一部改正するものです。
 議第24号中津市職員等の旅費に関する条例及び証人等の費用弁償に関する条例の一部改正については、中津市行政サービス高度化プランの取り組みの一つとして、職員等の公務旅行にかかる日当を廃止するため条例を一部改正するものです。
 議第38号中津市介護保険条例の一部改正については、介護保険事業に係る保険給付や円滑なサービスの提供のための取り組みとして、中津市第8期介護保険事業計画などに基づき、令和3年度から令和5年度までの介護保険料の見直し等をするため条例を一部改正するものです。
 議第42号中津市廃棄物の処理及び再利用に関する条例等の一部改正については、循環型社会の形成及び脱炭素社会の実現に向け、ごみ減量・資源化の推進のため一体的な取組が必要であり、その一環として、家庭ごみの排出時に指定ごみ袋を使用すること及び指定ごみ袋の手数料の額等を定めるため、条例を一部改正するものです。

 ここで、本日提出しました議案の概要についてご説明申し上げます。
 中津市副市長の選任について、人権擁護委員候補者の推薦についての人事案件をそれぞれ提出しております。

 議第48号令和2年度中津市一般会計第8号補正予算につきましては、5億1,865万7千円の増額となり、補正後の予算総額は538億3,758万8千円となります。
 主な内容としましては、コロナ禍における市内の個人事業主や中小企業者を経済的に支援するため、新たな応援金支給制度を創設いたしました。給付の対象となる要件を従来の支援制度より緩和しており、影響を受けている事業者を幅広く支援します。
 また、感染リスクが高い環境下で、子どもや働く保護者を支えている児童福祉施設の従事者に対し、感謝の意を込めて慰労金を支給します。
 これらの新たな支援につきましては、コロナ禍の影響を受けている市民の暮らしに一日でも早く手を差し伸べるため、予備費も活用し迅速に対応することといたしました。
 なお、市債につきましては、減収補填債の発行可能見込み額の変更に伴う増額です。

 このほかにも、市条例の一部改正案などを提出していますので、それぞれにつきましては、ご審議いただく折に詳しくご説明申し上げます。

 議員各位におかれましては、何卒慎重にご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げまして、提案理由の説明を終わらせていただきます。

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