市長コラム~つなぐ~ ブロッコリーとヒヨドリ

公開日 2021年03月10日

 秋に苗植えした6本のブロッコリー、防虫ネットをかけ順調に育ちました。緑の大きな葉を張り背丈も80センチほどに成長、畑でも存在感があります。食用となるのは蕾や茎ですが、ビタミンを含む健康野菜で広く料理で重宝されています。
 蝶が飛んで来なくなり、蕾が出始め収穫が間近になった冬先、防虫ネットを外しました。すると現れたのがヒヨドリです。与謝蕪村の俳句に「鵯(ひよどり)のこぼし去りぬる実の赤き」とあるように、この鳥は木の実が好物なのでしょう。ところが、実ならぬ、青々と大きく育った大切なブロッコリーの葉をわがもの顔に食べまくります。立派だった葉はギザギザののこぎり状になって何とも痛々しく、葉脈ばかりになるものさえあります。幸い、食用となる蕾や茎の部分は残しますが、あちこちに糞も落ちて始末が悪いのです。栽培農家の方から同じ苦労話を聞きます。
 そこで一計を案じ、葉を元からちぎり「どうぞお食べ」とばかりに土の上に並べてみました。しかしそちらには目もくれず、生きた株の新鮮な葉を選ぶ、憎いばかりの食通です。
 愛情注いだブロッコリーの無残な姿は見るに堪えず鳥を追い払おうとしますが、結果は明白。人の気配を察知すると、さっと近くの高木に飛び移り偵察、時を見計らって舞い戻り存分についばむのです。さらに山茶花に移動、先着のメジロを追い出し、食後のデザートとばかりに蜜を吸い上げます。腹立たしさ半分、越冬野鳥のたくましさに脱帽です。
 ともあれ、栽培したブロッコリーの葉はヒヨドリの命をつなぎ、 蕾や茎は、色合い、食感、栄養と申し分のない食材として食卓に上ります。「茹でる」「蒸す」「炒める」「煮込む」「揚げる」と何でもあれ、ただ調理の方は、未だ私は不得手、見習いです。残念!

ブロッコリーとヒヨドリ

(市報なかつ令和3年3月15日号掲載)

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