市長コラム~つなぐ~ 道標(みちしるべ)

公開日 2021年03月24日

 江戸時代の交通の要所、市内湯屋の辻にある石碑の道標。中津、玖珠日田、小倉、宇佐への4つの方向を旅人に示していたものです。昭和59年に碑の上半分のみが発見されその後復元されました。驚いたことに、昨年、福岡県東峰村でその石碑の下半分が見つかり全容が明らかになりました。
 石碑の道案内は、旅人が困らないように進路や方向を選択する羅針盤とも言うべきもの、地図が発達していない昔、行く先の表示は今とは比べようもなく大切なものだったのでしょう。
 ところで、人は生きていくうえでいつも何らかの選択をしています。買い物、食事、仕事の進め方、テレビの番組などは日常茶飯事の選択です。時に人生においては、進学か就職か、仕事を続けるかやめるか、結婚するかしないかなど自分の進む道を決める重要な選択をしなければならないことが誰しもあります。
 今はコロナ禍で人に会えないこともあり、特に若者にとっては選択の道標となるものが見つけにくくなっていると言います。道路の案内標識や海の灯台が不可欠であるように、人は人生の道標となるものを求め生きていくもので、自分が迷う時には頼りとなるものがあると心強いものです。道標となってくれるのは、家族、先生、友人、そして先達などの存在であり、そこから得られるアドバイスと彼らの心根です。また、今までの学校や地域社会での経験、先哲の書物などから得た知恵や知識も大きな手助けとなります。
 情報があふれ何が本質かを見分けるのが難しくなった現代、やはり大切なのは「人から人への教育の力」です。家庭や学校や地域での教えこそ「現代版道標」となるに違いありません。市も教育に力を入れます。
 それにしても、子供の頃、親や近所のおじさんから叱られた野太い声がなつかしいのは、なぜでしょうか。

石碑の道標

(市報なかつ令和3年4月1日号掲載)

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