公開日 2021年04月26日
事を為すにお金を借りてのやりくりもあります。家の新築時など、ローンを組みますね。国や地方自治体も毎年度の予算に借入があります。例えば道路建設の場合、当初の建設に大きな金額がかかります。そこで借入によってその費用を賄い、現世代だけでなく道路を利用する将来の世代の人びとが均等に長期で負担していくのは理にかなっています。
しかし、現在の国の一般会計予算は、増え続ける社会保障給付費の対応もあり、単年度の歳入不足を赤字国債の発行で埋めるのが通例となっています。令和3年度の歳入の約4割は借入です。借入残高は約1,000兆円、大丈夫かと心配の声があります。「国債の引受が日本銀行をはじめ国内であることから問題ない」と「将来世代につけをまわしているだけ」と両論あります。政府も毎年、借入額より返済額を多くして国債残高を減らすことを目標にしていますが、なかなか達成できていません。
中津市の借入残高は、5年前が約448億円、現在は約408億円まで減らしました。行財政改革の目標は400億円です。将来の負担を軽くするため、国から返済支援のある有利な地方債(借入)を活用しており、現残高のうち約25%の100億円がいわば実質の市の借入残高です。借入はできるだけ抑えつつ、令和3年度予算は歳入の約1割を借入で調達しています。
「入るを計りて出るを為す」。本来、建設事業以外の歳出は、その年の税収で賄うのが財政の基本です。行政需要は拡大多様化し、多くの予算を必要とします。財源を借入に大きく頼る状況は改善すべきですが、少子高齢化の中で、国も地方も増大一途の社会保障給付費の財源調達は難題です。
大切なことは、住民の福祉が「今がよければよい」ではなく、「将来も持続できる」ことです。厳しい地方財政、知恵を絞ります。
(市報なかつ令和3年5月1日号掲載)