公開日 2021年06月03日
令和3年第2回定例市議会の開会にあたりまして、諸般の行政報告等を行います。
まず、新型コロナウイルス感染症への対応についてです。
新型コロナウイルス感染症は、新たな二つの局面を迎えました。
一つは、変異ウイルスによる第4波の到来です。4月中旬以降の急速な感染拡大により、医療提供体制や感染状況などの指標が深刻な状況にある都道府県に緊急事態宣言が出され、また、複数の県がまん延防止等重点措置の実施区域となりました。大分県下でも複数のクラスター(集団感染)が確認されるなど感染者が急増し、県内の感染状況は、医療提供体制に支障を生じる「ステージ3」相当となっています。こうした中、5月12日から福岡県が緊急事態宣言の実施区域となることが発表され、飲食を目的として県境をまたぐ人の急増と感染拡大が懸念されたことから、実施に先立つ5月11日、同じように福岡県に接する日田市長とともに、大分・別府に加え、中津・日田両市の飲食店も営業時間短縮要請の対象とするよう大分県知事に要望しました。こうした要望と大分県内での感染状況を受け、5月14日から31日まで、県下全市町村の飲食店などを対象とした午後9時までの営業時間の短縮要請と、県民に対する不要不急の外出自粛要請が大分県から発出されました。さらに、5月27日には、時短要請を6月13日まで延長するとともに、追加の支援措置も発表されました。
中津市においても、5月に入ってから断続的に感染者が確認されており、クラスターも発生しました。変異ウイルスの特徴として、強い感染力と若い人でも重症化する可能性があることが挙げられることから、市民の皆様には、飛沫を防ぐ効果の高い不織布マスクの着用や、密になる場所での「二重マスク」などの一歩進んだ対応で、引き続き感染防止に取り組んでいただきますようお願いいたします。
もう一つは、コロナ対策で現在最も有効とされ、急がれているワクチン接種の実施です。中津市では、大分県下の他市町村に先駆けて開始しました。75歳以上の高齢者については5月1日から、65歳以上74歳以下の高齢者については5月23日から、ダイハツ九州アリーナでの集団接種を行っています。また、医療機関での個別接種は、5月10日から開始しました。医師会をはじめとする関係機関の多大なご協力のもと、順調に接種が進み、5月31日集計時点で、延べ16,062件の接種を実施しました。16歳以上64歳以下の方につきましては、優先接種の対象に小中学校の教職員や幼稚園教諭、保育士などを追加することが大分県から発表されたところですが、7月中の接種開始に向け、関係機関等と調整を行っています。接種を希望する市民が一日も早く接種できるよう全力で取り組んでまいります。
こうした中、5月26日、中津市のすべての人が励ましあい、支えあい、一丸となって、ワクチン接種の推進や感染対策の徹底、地元消費拡大による経済活性化などに取り組むことを再確認する「コロナに負けるな『なかつ励まし・支えあい宣言』2021」を、中津市医師会、中津商工会議所、中津市しもげ商工会、そして中津市議会と中津市とで発しました。
一方これまで、長引くコロナ禍で経営に深刻な影響を受けた中小企業者等への事業継続支援、店舗や事業所等への賃料補助、感染防止対策補助に加え、特別応援金の支給を行ってまいりました。申請受付総件数は、県の特別融資に対する利子補給が190件、事業継続支援金が1,525件、賃料補助金が1,372件、感染防止対策補助金が2,918件、特別応援金が1,651件となっています。
また、収入の減少等により経済的に苦しくなった方への生活福祉資金の貸付けの申請受付件数は、4月末日時点で1,412件となっています。
さらに、失業や収入減少となった低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金のうち、ひとり親世帯への給付金につきましては、4月28日に対象となる812世帯、児童1,263人分を支給しました。
今後とも感染状況の動向をしっかり把握し、保健所、医療機関その他関係機関と緊密な連携を取り、感染拡大の防止に向けて適切な対応に努めるとともに、地域経済の再活性化等に引き続き取り組んでまいります。
次に、災害に強いまちづくりに関する取組みについてです。
耶馬溪町金吉地区山地崩壊災害から3年が経過しました。4月11日は、この災害の記憶を風化させず、また、災害への備えの決意を新たにする「4.11中津市の防災を考える日」としています。当日は、現地に赴き、災害によりお亡くなりになった6名の方と復旧工事中の事故で亡くなられた1名の方に対して黙祷を捧げました。被災地周辺では、大分県による土砂災害の危険箇所調査が行われ、今後、危険度の高い箇所については対策工事が行われる予定です。翌12日には、市職員及び防災士協議会の方を対象とした防災研修会を開催しました。
また、4月6日、九州電力送配電株式会社中津配電事業所と「風倒木被害防止に向けた事前伐採協定」を締結しました。この協定は、一昨年、関東地方において台風による倒木で送電設備が被災し、大規模停電が発生したことを教訓に、被害をもたらす可能性のある立木を事前に伐採し、道路の寸断による集落の孤立防止や電力をはじめとしたライフラインの保全・早期復旧に繋げることを目的としています。
また、今年は、平年よりも20日ほど早い梅雨入りとなりました。近年では、各地で大雨による災害も多発していることから、怠りなく警戒してまいります。市民の皆様におかれましても、非常持ち出し品や避難ルート、市からの災害情報の収集方法などの再確認をお願いいたします。
今後も、ハード・ソフトの両面から対策を講じ、これまで以上に市をあげて自助・共助・公助の連携を強め、災害に強い、市民が安全・安心に暮らせるまちづくりに取り組んでまいります。
次に、地域福祉の推進についてです。
今年度は、第3次中津市地域福祉計画・中津市地域福祉活動計画の計画期間の最終年度となっているため、令和4年度からの福祉政策の指針となる第4次の計画を策定する作業に着手します。地域ごとに住民が参加するワークショップを行い、集約された意見や方策等を踏まえて、実効性ある計画を策定してまいります。
また、4月から、小学校の校長経験者を放課後児童クラブアドバイザーとして登用しています。放課後の居場所づくりや、支援の必要な児童や家庭へのサポートなど、放課後児童クラブと小学校における課題は共通する部分が多いため、放課後児童クラブのサポートと併せて、小学校との連携を推進することを目的としています。
また、同じく4月から、中津市版エンディングノート「私のおもいちょっとだけシート」を高齢者相談支援センターなどで配布しています。自らが希望する医療や介護について「思い」をまとめ、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう支援するものです。
また、4月15日、本耶馬渓の西谷地区公民館の竣工式を行いました。生涯学習活動をはじめ、地域づくりの活動拠点、地域住民の交流の場として大いに活用されるだけでなく、災害が心配される季節を前に、避難所として地域の安全・安心づくりにもつながるものと考えています。
今後とも、子どもから高齢者まで、市民が住み慣れた地域で、安心して自分らしく暮らせるように地域福祉の推進に取り組んでまいります。
次に、中津日田地域高規格道路の進捗状況等についてです。
2月28日、地域高規格道路中津日田道路のうち、山移インターチェンジから下郷交差点までの耶馬溪道路が開通しました。3月30日には、未着手区間であります耶馬溪町大島から山国町守実までの耶馬溪山国道路が新規事業として採択され、中津市から日田市までのほぼ全区間が整備区間となりました。さらに、4月27日に、国直轄代行区間である三光本耶馬渓道路のうち、田口インターチェンジから青の洞門・羅漢寺インターチェンジまでの区間が令和5年度に開通するとの見通しが発表されました。この区間が供用されると、現在開通済みの区間と併せて、さらに利便性の高い道路となります。
これらの事業の進捗は、中津市議会をはじめ、関係する皆様方によるこれまでのご尽力によるものと深く感謝を申し上げます。今後も、中津日田道路の一日も早い全線開通に向け、しっかりと国や県に働きかけてまいります。
次に、企業誘致についてです。
2月18日に、青木運輸倉庫株式会社から立地表明書が提出されました。更なる受注拡大に備えた倉庫の新設で投資額3.2億円、6名の雇用を予定しています。3月22日には、大分県庁において葵機械工業株式会社の立地表明式が行われました。工場棟を増設し、設備の増強を図るもので、投資額は9.7億円、新規雇用15名を予定しています。また、4月14日には、ダイハツ九州株式会社から立地表明書が提出されました。新たに塗装工場の増設を行うもので、8.6億円の設備投資を予定しています。
今後も、集積が進む自動車関連企業の誘致を中心としつつ、サプライチェーンの地方分散などの新たなニーズにも対応しながら、しっかりと企業誘致を進めてまいります。
次に、産業振興についてです。
3月25日、なかつ6次産業推奨品に「YABASCO」、「耶馬溪すっぽんのスープ」、「温州みかん100%ジュース」の3商品が新たに認証され、これにより推奨品は26商品となりました。この3商品の認証を記念して、4月1日から5月9日まで、「なかつ6次産業推奨品フェアin道の駅なかつ」を開催しました。4月24日・25日の道の駅なかつ7周年記念祭と相まって、多くの方に来場いただき、推奨品をはじめとする「なかつブランド」を大いにPRすることができました。今後とも、市内農林水産物を活用した特色と魅力のある商品開発に取り組むとともに、「道の駅なかつ」をはじめ、市内の道の駅が中津市の農林水産品や特産品の情報発信基地となるよう、機能を充実し、さらなるサービス向上に取り組んでまいります。
次に、観光振興についてです。
3月20日から5月30日まで、中津・玖珠の春を自然・歴史と共に感じることができる体験型観光プログラム「2021日本遺産やばけい遊覧博覧会(通称「やばはく」)」を開催し、多数の方に参加いただきました。また、4月25日、深耶馬溪で自然・グルメ・温泉を楽しめる新緑グリーングリーンウォークを大分大学の協力のもと開催し、66名に参加いただきました。
また、屋外観光の情報発信として、新たに2種類の広域観光パンフレットを作成しました。九州周防灘地域定住自立圏広域観光振興協議会による「豊前・豊後周遊花MAP」と一般社団法人豊の国千年ロマン観光圏による「中津広域サイクリングマップ」です。「中津広域サイクリングマップ」は、別府から中津へと繋がる広域ルートを紹介するとともに、食事処や観光スポットなども掲載しています。大分県内のサイクリストが中津へ訪れることを期待しています。
依然として域外との交流は厳しい状況にありますが、コロナ下における新しい観光のあり方を意識し、例えば、少人数を対象とした体験型プログラムを造成するなど、観光誘客に努めてまいります。
次に、低炭素社会の実現に向けた取組みについてです。4月1日から、中津終末処理場内において、月島機械株式会社による「中津終末処理場消化ガス発電事業」が開始されました。下水汚泥処理の過程で発生するバイオガスを有効活用して発電を行うもので、温室効果ガスの削減に貢献できる事業です。今後も、環境共生都市なかつとして、環境負荷の低減に取り組んでまいります。
次に、自治体デジタルトランスフォーメーションの推進についてです。今年度から行政のデジタル化を推進するため行政経営改革・デジタル推進課を設置したところですが、4月16日、その牽引役を担うDX推進監として、総務省の地域情報化アドバイザーであり、民間企業でのデータ活用ビジネスに実績を持つ東 富彦氏を任命しました。今後は、経験と知見が豊富な推進監のもと、デジタル技術を活用して、市民サービスの更なる向上と業務の効率化に努めてまいります。
最後に、あらゆる主体との連携についてです。
3月25日、九州周防灘地域定住自立圏共生ビジョン懇談会を開催し、各地域の課題や今後の取組みなどについて話し合いました。今後も、中心市として市町村や県の枠組みを超えた取組みを積極的に進め、圏域全体の発展に努めてまいります。
また、4月22日、慶應義塾と連携に関する協定を締結しました。令和元年8月に共同研究機関である新中津市学校が開館したことを受け、これまで行ってきた人材育成や地域づくりの連携事業に加え、文化・教育・学術等の分野で相互に協力し、共同研究や学習交流、市民参加を一層推進するためのものです。さらに、慶應義塾においては、福澤諭吉記念慶應義塾史展示館が完成し、随所で福澤先生と中津市との関係を紹介いただいています。こうした慶應義塾との連携の強化は、今後3年間で重点的に取り組む「不滅の福澤プロジェクト」の推進にも大きな力になるものと期待しています。
また、事業者との連携では、3月30日に日本郵便株式会社と、5月14日に第一生命保険株式会社と、同月25日に大塚製薬株式会社と、連携協定を締結しました。地域の安全・安心や、市民の健康推進などの様々な分野で、それぞれの事業者が持つ強みを活かして連携し、地域課題の解決に取り組んでまいります。
今後も、限られたマンパワーや財源の中で、施策の効果を最大限高めるため、あらゆる主体との連携と力の結集を進めてまいります。
以上をもちまして、報告を終わります。
議員の皆様方におかれましては、今後ともご指導ご協力いただきますようお願い申し上げます。