令和3年第3回定例市議会の行政報告

公開日 2021年08月31日

 令和3年第3回定例市議会の開会にあたりまして、諸般の行政報告等を行います。

 まず、新型コロナウイルス感染症についてです。
 全国的には、感染力の強いデルタ株への置き換わりが進み、これまでにない勢いで感染が拡大しています。8月に入り、多くの都道府県において、直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者数が「ステージ4(爆発的感染拡大)」の水準を上回り、また、国内の1日の新規感染者数が25,000人を超え過去最多となるなど、非常に厳しい状況が続いています。隣接する福岡県を含む21都道府県が緊急事態宣言、12県がまん延防止等重点措置の実施区域となっているところです。
 大分県においては、各種指標の上昇を受けて、感染状況の評価を「ステージ3(感染者が急速に増加し医療提供体制に支障が出る状態)」に引き上げました。中津市においても、これまで低位に推移していた新規感染者数がお盆あたりから連日二桁を超え、これまでの最多数を更新し、経路不明の感染者や家庭での感染が増えるなど、感染が拡大したところです。
 このような状況から、市民の皆様には、不要不急の外出自粛と、感染が拡大している地域との往来は極力控えていただくようお願いをしています。また、家族内の感染や会食によるクラスターも発生していることから、会食の際には、短時間、少人数でのマスク会食などの十分な感染防止対策を取っていただくとともに、飲食店には営業時間短縮への協力をお願いしているところです。
 小中学校においては、市内の感染拡大状況を踏まえ2学期の始業式を1週間延期しました。9月1日の始業式以降は、時間短縮による授業や感染リスクの高い学習活動の停止、また、希望する児童生徒にはオンライン授業にも対応する予定としており、子どもたちが安心して学習できる環境の確保に努めていきます。
 ワクチン接種につきましては、16歳以上のすべての方へ接種券をお送りしました。7月28日からはインターネットによる予約受付も開始し、従来のコールセンターと合わせて受付体制を拡充しています。また、12歳から15歳までの方には9月1日に接種券を発送する予定です。
 8月22日時点で2回目の接種まで終えた方は、市内の高齢者では84.6パーセントにあたる22,005人、高齢者以外の方では14,438人、合計36,443人となっており、市民の4割以上が接種を完了したことになります。また、市内の大手企業や中津商工会議所が職域接種に積極的に取り組んでいただいております。
 新規感染者は、今は40代以下の若い人が多く、高齢者の占める割合が以前に比べ非常に低くなっていることからも、ワクチン接種による予防効果が認められます。県民を対象とした県営ワクチン接種センターの利用も含め、ワクチンに対する正しい理解の下、積極的な接種をお願いするとともに、ワクチンを接種した後においても引き続き、マスクの着用や手指消毒などの日常の感染防止対策に取り組んでいただくようお願いいたします。
 今後も、国からのワクチン供給の状況を見極めつつ、希望する市民が1日でも早くワクチン接種を受けることができるよう、全力で取り組んでいきます。

 次に、災害対策についてです。
 台風9号、そして8月11日からの秋雨前線豪雨と、立て続けの豪雨に見舞われ、8月の降水量としては平年の約4倍を記録しました。秋雨前線豪雨時には三光・本耶馬渓・耶馬溪・山国地域の6,188世帯、13,111人に「警戒レベル4避難指示」を発令し、耶馬溪・山国地域においては、避難情報の発令が7日間の長期にわたりました。このように記録的な豪雨となり、小祝漁港の航路に土砂が堆積する被害のほか、家屋の床上浸水が1棟、道路、河川、農地などの被害が報告されています。一方で、人的被害はなく、避難所においてもコロナ感染者の発生もなく、身の安全確保と感染防止の両立ができました。
 また、7月に静岡県熱海市で発生した大規模土石流を受け、大分県内の危険箇所について緊急調査が実施されました。航空写真や地形図等をもとに、人的被害の恐れのある箇所について、盛土の有無やその状況などの現地調査が行われています。今後も、調査の状況を注視していきます。
 また、県から高潮浸水想定区域が公表され、中津市においても浸水面積が広範囲にわたることが示されました。過去最大規模の台風が、もっとも被害が大きくなる経路で直撃するという、最悪のシナリオを想定したものですが、これを基に今年度中に高潮ハザードマップを作成する予定です。
 いつどこで発生するかわからない災害にも迅速かつ柔軟に対応し、市民の被害を最小限に防げるよう、平時からの対策を引き続き進めていきます。

 次に、子育て環境の充実についてです。
 7月21日、米山公園に「のびのびパーク」がオープンしました。この「のびのびパーク」は、幼児を対象とした複合遊具のほか、児童も遊べる遊具や子どもを見守りながら大人が運動できる器具などもあり、誰もがのびのびと遊びや運動ができる施設となっています。親子のふれあいの場としてだけでなく、公園を多くの世代の方にも利活用いただくことで、地域における子育て支援、住民の健康増進や多様な交流につながるものと期待しています。

 次に、男女共同参画社会実現に向けた取組みについてです。
 男女共同参画週間にあわせて、6月26日に記念講演会を開催しました。オンラインによる生配信も行い、YouTube中津市公式チャンネルにおいても公開しました。誰もが活躍できる男女共同参画社会の実現のため、引き続き啓発に取り組んでいきます。

 次に、企業立地についてです。
 8月3日に株式会社TF-METAL九州の立地表明式が大分県庁にて行われました。近年の自動車の電動化を背景に、部品の軽量化と高性能化のための設備を導入し、投資額4.7億円、10名の雇用を予定しております。今後も、集積が進む自動車関連企業をはじめ、地域の元気につながる様々な業種の誘致にも取り組んでまいります。
 また、7月3日、大分県が福岡市に開設しているUIJターン支援拠点「dot.」と連携してオンラインによる就職説明会を開催し、市内企業9社が参加しました。さらに、7月10日、中津体育センターにおいて開催した「中津市企業合同就職面接会」では、市内事業者30社と学生や一般求職者27名が参加しました。今後も、大学進学等で市外・県外に転出した学生や一般求職者、UIJターン就職希望者と市内企業とのマッチングを支援し、市内の就労拡大と地域雇用の安定を図る取組みを進めます。

 次に、観光振興についてです。
 6月25日、市民、関係団体、行政による「36ぷらす3中津駅おもてなし実行委員会」を設立しました。昨年10月の運行開始以降、関係団体等が協力しながら中津駅に停車する観光列車へのおもてなしや観光情報の発信、特産品の販売を行ってきましたが、今後は、実行委員会としてより一体的に、中津市のPRなどを実施していきます。
 また、8月24日、福澤旧居レストハウスに株式会社ムロヤが経営するカレー食べ放題のお店「諭吉コルリ」がオープンしました。店名は、日本に初めてカレーを「コルリ」と紹介した福澤諭吉先生にちなんでおり、城下町観光を充実させる観光案内所や中津ならではのお土産販売、散策を楽しむお客様が一息つけるような無料休憩所としての役割を担っていただきます。城下町に人の流れを生み、周辺のにぎわいづくりにつなげていきます。
 さらに、コロナ禍での観光需要の落ち込みに対する新たな取組みも生まれています。市内複数の老舗の若手経営者がそれぞれの看板商品を持ち寄りセットにし、包装なども中津産にこだわった「ナカツハコ」は、中津の新しいお土産や贈り物となることが期待されます。
 また、家庭で手軽に美味しいそばを楽しめる「十割そば手作りキット」の開発や、水産加工品などをドライブスルー方式で販売する「美人小屋マルシェ」の開催、8月30日を「中津ハモの日」とする記念日の登録など、市民にも地場産品の良さを再認識してもらうことで消費拡大を図ろうとするものです。このような新たな発想により苦境を乗り越えようとする取組みを市としても積極的にPRし、支援していきます。

 次に、スポーツ・文化の振興についてです。
 市内の小・中・高校生が、様々なスポーツ・文化活動において全国大会へ出場し活躍しています。日々の練習や大会開催などに制約がある中で、全国への切符を勝ち取った子どもたちが、今後さらに活躍の幅を広げていくことを期待しています。
 また、耶馬溪B&G海洋センターのプール施設では、新型コロナウイルス感染防止対策を講じ、「水辺の安全教室」を実施しました。7月までに開催した教室には延べ242名の参加があり、市内の小・中学校のプール授業が昨年に続いて中止となる中、水にふれあう貴重な機会を提供することができました。今後も施設の特徴を活かし、水に親しむ機会を創出していきます。
 また、東京オリンピックに次いでパラリンピックが開催されています。中津市で予定されていたパラリンピックマレーシア選手団の事前キャンプは、残念ながら実現しませんでしたが、今回のオリンピック、パラリンピックでの選手の皆さんの活躍は私たちに感動とともに、勇気や元気を与えてくれています。

 次に、歴史と文化の伝承についてです。
 今年11月に、中津市と岡山県津山市、島根県津和野町、いずれも名前に「津」が付く3市町により「蘭学・洋学 三津同盟」を締結することとなりました。優れた蘭学者・洋学者を輩出するなど共通の歴史的背景を持つ自治体同士が、学術や知的観光の振興などにおいて連携・協力し、「蘭学・洋学のまち」として積極的にプロモーションに取り組みます。

 次に、「環境共生都市なかつ」のまちづくりについてです。
 ごみ減量・資源化を推進するため、7月1日から「資源プラ」の分別収集と生ごみ処理器「なかつキエーロ」の販売を開始しました。市民の皆様方のご協力により資源プラの分別収集も徐々に浸透しつつありますが、まだ燃やすごみの中には資源化できるものが含まれています。引き続き、ごみの適正分別の徹底や排出抑制など、ごみを含めた環境問題についての啓発を進め、市民や事業者の皆さんと一緒に、環境への負荷をできる限り低減する循環型社会の形成、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいきます。

 次に、デジタル化の推進についてです。
 「書かない」「行かない」市役所の実現を目指して行政手続きのデジタル化を推進しており、6月1日から市役所の申請書類1,559件のうち1,443件について押印を廃止しました。これにより、各種申請や届け出のオンライン化を進めていくこととしており、既に一部の子育て関係の手続きについては運用を開始しています。今後も対象手続きを順次拡大し、市民サービスの向上や業務の効率化を図っていきます。
 また、行政のデジタル化を進めるにあたって基盤となるマイナンバーカードの普及促進にも取り組んでいます。学校や仕事などで平日の日中に市役所窓口に来ることができない方のために、平日夜間・休日の市役所での臨時窓口開設に加え、8月1日、7日の2日間は、イオンモール三光にて出張窓口を開設しました。今後、マイナンバーカードは健康保険証や運転免許証との一体化など利活用が進められます。より多くの市民にマイナンバーカードを取得していただけるよう、引き続き普及促進に取り組んでいきます。

 最後に、暮らし満足ナンバーワンのまちづくりに向けた主要計画についてです。
 先般、令和2年国勢調査の速報値が公表され、国全体では86.8万人の減と前回調査に続く減少となり、我が国が人口減少社会にあることが改めて裏付けられた結果となりました。中津市の人口は82,911人で、前回調査から1,054人の減、率にして1.26パーセントの減となっていますが、県下市町村では大分市、日出町に次いで3番目に減少率が抑えられています。市の人口ビジョン推計値と比較しても754人上回っている状況で、今後も、人口減少をできるだけ最小限に抑えつつ、地域住民の暮らし満足を高める施策に取り組んでいく必要があります。
 このため、まず、第5次中津市総合計画「なかつ安心・元気・未来プラン2017」について、今年度末が計画期間の折り返しとなることから、中間見直し作業を進めているところです。直近の社会情勢等も踏まえつつ、来年度からの計画後期の取組みを着実に進めることができるよう内容の更新を行います。
 また、総合計画の施策を進めるにあたって不可欠な安定した行財政基盤を確立するための「中津市行政サービス高度化プラン」については、今年度が計画期間の最終年度となります。8月2日に中津市行財政改革推進委員会を開催し、これまでの取組み状況の総括、次期行財政改革の計画の在り方について、委員の皆様からご意見をいただきました。単にコスト削減のみを行うのではなく、より一層、市民目線でサービスを向上させていくことも併せて、行財政基盤の強化に向けた取組みを推進してまいります。

 以上をもちまして、報告を終わります。
 議員の皆様方におかれましては、今後ともご指導ご協力いただきますようお願い申し上げます。

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