公開日 2021年11月10日
岡山県の「津山市」、島根県の「津和野町」、そして我らの「中津市」が「蘭学・洋学 三津同盟」を結ぶことになりました。津山市からの呼びかけです。いずれの自治体も、江戸時代から明治期にかけて優れた蘭学者・洋学者を輩出した「蘭学・洋学のまち」、史跡も多く残っています。
まず、津山市。岡山県第3の人口を持つ内陸市です。津山藩では、幕末にオランダに留学した法学者津田真道、幕末対米露交渉で活躍した箕作阮甫、酸素などの元素名を造語した宇田川榕庵を世に送りました。津山城跡は国史跡で、津山洋学資料館があり、武家屋敷、町屋などの伝統的建造物も保存されています。
津和野町。「山陰の小京都」と言われ、萩・津和野の観光コースで知られます。啓蒙思想家西周や藩医の家系に育ち陸軍医で文豪森鷗外を生みました。西周旧居、森鷗外生家も現存し、関連資料を展示する津和野町郷土館もあります。「津和野今昔~ 百景図を歩く~」として、中津市同様、日本遺産に認定されています。
そして、中津市。オランダ語の人体解剖書「ターヘル・アナトミア」を翻訳した藩医前野良沢、日本最初の和蘭辞書を出版した藩主奥平昌高、大阪適塾で塾頭を務め慶應義塾を創設した福澤諭吉と人材豊富です。村上・大江の両医家史料館、福澤旧居、歴史博物館と負けていません。さらに、福澤は津田、西とともに明治の学術団体「明六社」の創設メンバーです。
このように、同じ「津」の字がご縁で、共通の歴史的背景を持つ3市町が連携協力し「蘭学・洋学のまち」を積極的にアピール、相乗効果で学術や観光を振興していきます。今月に「三津同盟」の締結式、手を繋ぎあって全国にPRします。来年は手始めに学芸員のシンポジウムを開催。皆さんも津山、津和野を訪ねてみませんか。
(市報なかつ令和3年11月15日号掲載)