市長コラム~つなぐ~ なつかしい昔生きる今

公開日 2021年12月08日

 小学校の冬の校庭、珍しくも大雪、先生と雪をかき集めカマクラ作りに大はしゃぎ。翌朝は一面の氷、生まれて初めてのスケート場気分。一方、夏のキャンプ、青の洞門上流で遊泳、そそり立つ競秀峰の岩壁を鎖つたいに登山。現在は両方とも立ち入り禁止場所、怖かったはずです。
 中学校に入ると炎天下の部活練習。当時は根性論が盛んで水補給は休憩時間以外ご法度。ボール拾いを装い校舎裏の井戸水をがぶ飲み、不運にも見つかりグラウンド10周の罰走。さらに水泳は肩を冷やすと禁止、何とも非科学的な鍛え方でした。
 さて、これらはすべて同窓会での思い出話です。どういうわけか、同窓会は還暦を迎える頃から回数が増えます。若い頃、同じ場所で育った仲間はお互いの性格や癖も承知済みで、なつかしさもひとしお。童心に帰り、青春時代に戻って、子供の頃の夢、恩師や友人、運動会、クラブ活動、通学時の道草、修学旅行、通った焼きそば屋など数々の思い出が語られます。さらに話は現在へ。家族、両親、子、孫、仕事、健康、趣味、嬉しいこと、苦労話、世相など尽きることなく、気心知れた者同士が交わす「昔から今へのタイムトリップ」が続きます。
 同窓会は人生の時間軸の中で、昔がほんわかとなつかしくよみがえる故郷みたいなところ。その時その場で自分がどう生きてきたのか、そしてその後どう生かされてきたのかを感じる「人恋しい時間空間」なのでしょう。まるで昔が今であるかのように、時が経過したことも、またその場の時間が経つのも忘れてしまい会話に興じます。なつかしい再会が、自らが積み重ねた年月の再確認と残された未来の過ごし方への応援になるのでしょうか。
 コロナで同窓会も延期のまま。「みんな元気でまた会おうな!」

なつかしい昔生きる今

(市報なかつ令和3年12月15日号掲載)

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