昨年最も売れた本は『人は話し方が9割』です。（日本出版販売発表）著者は中津市出身の永松茂久さん、すでに多くの本を出版している40代の作家です。著者の経歴は面白く、たこ焼き屋から飲食店経営を経て、現在は作家、出版や講演活動などで活躍、人材育成に注力されています。
　中津からベストセラー作家が出るとは嬉しいことです。このベストセラー、話し方のテクニックを書いたビジネス書と思いきや、コミュニケーションをとる際の心の持ち方をわかりやすく記しています。続いて最近、『人は聞き方が9割』も出版されました。昨年、ご本人と懇談する機会を得ました。直接話すと、その前進力と、出会いを大切にする生き方を感じます。
　著書の一つ『在り方　自分の軸を持って生きるということ』の中で、郷土の偉人福澤諭吉を取り上げています。永松さんは独立自尊の教えに共鳴し、「日本を代表する啓発の祖が『学問のすすめ』で伝えたかったことは、人はみな学ぶことで目先のことにまどわされず、大局観をもって世の中を見ることができるようになること」と自らの考えを述べています。さらに嬉しいことに、今後の取り組みとして、「福澤諭吉のファンタジー小説」を制作企画中とのこと。壱万円札の肖像交代を２年後に控え、オール中津で「不滅の福澤プロジェクト」を展開している今、強力な中津仲間が加わった気持ちがして、本当に楽しみです。
　本人によると、中津祇園で育ち、やんちゃな子供時代だったそうです。出版の仕事は東京が本拠ですが、家族や旧友を大事にして、中津を忘れることなく活躍する姿は「行ってきます　中津」「ただいま　中津」の実践者と言えます。
　他界した母親への思いから書いた『喜ばれる人になりなさい』も良書、今度「母親論」を語り合いたいですね。

（市報なかつ令和4年2月1日号掲載）