公開日 2022年02月21日
職場で厳格な人、男性であれば、きっと家庭でも厳しい父親なのだろうと思いがちです。そんな人が、お子さんと一緒のプライベートな場面だと、意外にも日頃のイメージとかなり違うことがあります。いつもの鋭い目は優しい視線に、子どもの言われるままに遊んでやっています。
福澤諭吉も子ぼんのうな父親であったようです。諭吉と妻錦は4男5女に恵まれました。福澤家では、一番小さな子どもが父母と一緒に寝ることになっており、子が眠れない時は、諭吉自身が呼び寄せて布団に入れて寝かしつけることもあったといいます。また子どもを自由にのびのびと遊ばせ、まずは体力づくりを第一に、しかる後、勉強させるものでした。
長男一太郎、次男捨次郎の二人の息子には、毎朝ひとつずつ「ひゞのをしへ」を半紙に書き聞かせました。例えば、桃太郎の鬼征伐の話など自分流に面白く話すので、二人の子どもはとても楽しみにしていました。優しい父親の顔が浮かびます。
また、娘の結婚では、長女里の時は両家の顔合わせを2回も引き延ばし、三女俊の場合は、夫の赴任地まで妻錦とともに送り届けるなど手間を惜しまず、娘思いで寂しがり屋だったようです。さらに、出産や育児について、自ら「養生の心得」を執筆し、娘の出産にはことのほか気を配り、体を気遣うよう手紙を送っています。母親みたいに世話焼きの父親です。
現在、中津市歴史博物館と福澤記念館で「華麗なる福澤家の人々」を開催中(3月6日まで)。妻を気遣い頼りにする夫、子ぼんのうで少し過保護な父親など、普段の厳然としたイメージと異なる人間諭吉とその家族を紹介しています。
子育て中のお父さん・お母さん、「あなたは子ぼんのうですか、過保護ですか。」是非、足を運んでご覧ください。
- 福澤諭吉と息子一太郎・捨次郎
画像提供:慶應義塾福澤研究センター
(市報なかつ令和4年3月1日号掲載)