公開日 2022年05月11日
「中津にはおいしいお菓子が多いですね」と言われます。城下町として博多と並んで栄えた商業都市中津、茶の湯が盛んでお菓子の文化も根付いていたのでしょう。
まず、「巻蒸」。本葛、十六寸豆、きくらげ、砂糖を材料とする蒸し菓子、全国でも珍しいものです。幼い頃、祭事のお祝い折詰に入っていた記憶があります。世にある「けんちん汁」からはイメージできない薬膳菓子です。
次に「外郎饅頭」。黒田官兵衛が数々の戦績で大活躍し負傷した家来を商家に転じさせ、その製造を命じたと言われています。名古屋の外郎とは違い、花の形で茶菓子にぴったりです。
根強い人気の「丸芳露」。ポルトガル語で甘い菓子を意味する「ボーロ」に由来しています。五代藩主奥平昌高公が、カステラを食し、そのおいしさに感激、菓子職人に命じ作られた中津生まれの菓子です。その特徴は、必ず2枚セットの拝み合わせとなっており、お菓子屋さんにより、大きさ、やわらかさ、味、色に微妙な違いがあります。中津からあげと同様に、それぞれのお店にファンがいます。遠方に住む幼い孫から中津の祖父母に「お化けクッキー送って」といつも催促の電話があるそうです。この焼き菓子のおいしさを、子どもならではの発想で、面白く表現していますね。
異彩を放つのが、諭吉先生の「壱万円せんべい」。おいしさとともに話題性抜群。「十万円のお土産です」とユーモアを交えて渡すと大うけします。さらに、熱湯を注ぐと紅白の千鳥が浮き出る蛤形のしるこなどの銘菓や最近では上品な洋菓子も中津のショーウインドウを飾り、菓子巡りを楽しめます。
ところで、昔、アルマイトの弁当箱に半透明の赤や緑の寒天を家で作ったことはありませんか。「結構おいしかった」は、60代以上のノスタルジア(郷愁)ですかね。
- 中津銘菓「丸芳露」
(市報なかつ令和4年5月15日号掲載)