公開日 2022年08月29日
夏は雑草の季節、手を抜くと大変なことになります。中でも、繁殖力旺盛なのがコウブシとドクダミ、除草に難儀します。
コウブシは、ハマスゲとも呼ばれるカヤツリグサ科の多年草、季節を問わず庭や菜園一面覆うほどに厄介です。掘り起こすと、根先に小さな豆状の球根があり、地下茎で連なっています。雨が降らなくても繁殖し、農家やガーデニング愛好家泣かせ。せっかく植えた野菜や花の苗木は、コウブシに囲まれてしまい、成長の妨げどころか、主客転倒します。根絶してやろうと、先端が大釘状になって土深く刺さる道具で一帯を除去したつもりでも、数日経つと新芽を出し、手が回らないので草刈り機で刈るとますます勢いを増すようです。
もう一つの枯らしにくい雑草ドクダミ。濃いグリーンの厚い葉を持ち、初夏に咲く真っ白な花は可愛いのですが、触っただけで強烈な臭いを放つ多年草です。日陰の湿地を好み、我が家の裏庭にもいつの間にかはびこってしまっています。白い地下茎はどこまでも続き、抜くと切れてどこが元かわかりません。
ところが、この厄介物たちにも効用があります。コウブシ、その根茎を乾燥させたものは「香附子」という漢方薬・生薬として、芳香性健胃、消化、浄血などの効能があり、昔から使われていたようです。ドクダミ、名前の由来は、「毒痛み」、「毒溜め」、「毒矯め」と諸説あるように、毒を抑える薬草として知られ、ドクダミ茶は独特のかおりと味わいがあります。
このように迷惑千万の雑草も、薬として効用を発揮、植物の力は多様です。一方、人間、暑さの中の除草作業にはなかなか腰があがりません。でも一旦始めると、もっときれいにしたくなるのも人の心理、除草後は確かに気分もすがすがしい。となれば、洗心、心の浄化の効用もありや。初秋の草取りやってみますか。
(市報なかつ令和4年9月1日号掲載)