公開日 2023年03月08日
山国川のない中津を想像できますか。まず、水が不足します。中津市民の多くは山国川及びその水系の水を利用しています。飲料水はもちろん、農林水産業、商工業、サービス業などあらゆる産業に大きな恩恵を施しています。一部の水は、北九州市まで水道用として運ばれています。
景観しかりです。奇岩奇勝の耶馬渓も、山国川あってこそ価値を増します。さらに山の養分が川を流れ海に注ぎこみ豊かな漁場を作ります。山国川や周防灘に生息する魚をはじめ多種多様な生物は、自然の豊かさの証です。また、川沿いには、かっぱ祭り、鶴市の花傘鉾祭りなどの伝統行事や青の洞門、擲筆峰、猿飛千壺峡など多くの名所があり、地域文化の発信力となっています。
一方、山国川は、平成24年の九州北部豪雨で大きな水害に見舞われました。あれから10年、その惨害を忘れないように、昨年、「防災・景観・まちづくり」をテーマに山国川流域フォーラムを開催しました。名勝耶馬渓の渓谷美を誇る山国川やその水系流域の魅力を再認識し、災害に強く元気で活力ある中津の未来に向けた新たな流域モデル構築についての意見交換です。減災・復興に詳しい大分大学の鶴成悦久教授をコーディネーターに、流域に定住し地域づくりや環境保全に熱心な民間の方々と国・県・市の行政関係者がパネラーとして取組みを語りました。立場は様々ですが、山国川流域との関わりは深く、この川が中津市にとってかけがえのない存在だと納得しあいました。
そう言えば、市内の小学校、中学校、高校の校歌、山国川流域に関した歌詞の何と多いことか。校歌は、地域文化の一つです。「山国川の豊けさよ」「心の友よ山国よ」「流れ清らか山国川」「山国の渓に映りて雅びたり」などなど。山国川に思いを馳せ、母校の校歌、口ずさんでみませんか。
- 山国川源流近くの猿飛千壺峡
(市報なかつ令和5年3月15日号掲載)