公開日 2024年09月02日
令和6年第3回定例市議会の開会にあたりまして、行政報告等を行います。
まず、台風10号についてです。
全国的に雨や風が強まり、各地で被害が発生しています。中津市におきましても、土砂災害や、激しい雨による災害の危険性が高まったことから、中津市内全域の41,169世帯に「警戒レベル4 避難指示」を発令しました。市内での人的被害はありませんでしたが、現在、公共施設や農産物等の被害調査を進めているところです。
一方で、今回の雨により耶馬溪ダムの貯水率が回復したことで、心配されていた渇水の状況は解消されました。
次に、8月8日に日向灘で発生した地震に伴い、初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」への対応についてです。
8月15日までの1週間、災害警戒本部を設置し、市民に対し家具の固定や避難経路及び家庭での備蓄品などの再確認の呼びかけを行いました。幸い、期間内に大きな後発地震もなく、市民生活においても混乱は見受けられませんでした。近い将来、高い確率で発生すると予測される、南海トラフを震源とする巨大地震に備え、体制の再確認と家庭や地域における防災対策の啓発を行ってまいります。
続いて、6月下旬から7月上旬の大雨についてです。
人的被害はなかったものの、河川や農林道などに多くの被害を受けました。昨年の7月豪雨に伴う災害復旧と合わせて、早期復旧に向けて取り組んでまいります。
また、災害に強い安全なまちづくりとして、7月25日、B&G財団より「防災拠点の設置及び災害時相互支援体制構築」に係る事業支援金の決定を受けました。防災倉庫の設置やトイレカーなどの資機材配備を進めるとともに、重機操作員の育成、外国人や女性を対象とした防災研修などを行います。
さらに8月8日からダイハツ九州アリーナを対象とした、新たな避難所運営の取組を2つ始めました。1つ目は、「ペット同伴避難」の受入れです。ペットがいることで避難をためらわれていた方々の避難促進につなげます。2つ目は、大分県内では初となる「避難所入退所管理アプリ」の試行的運用です。このアプリは市で独自制作したもので、避難者情報をあらかじめ登録いただく「事前登録」が特徴です。これにより、「書かない・待たない」受付が可能となり、避難所運営の効率化が期待されます。今年度の運用を検証し、内容の充実と規模拡大を図ってまいります。
大分市にこの4月に設置された「おおいた消防指令センター」において、県内の119番通報を一括受信する「消防指令業務の共同運用」が順次始まっており、中津市では7月9日から仮運用を開始しました。情報の一元処理により、大規模災害への対応力強化や相互応援の迅速化などの効果を期待しています。
なお、猛暑の影響で連日熱中症警戒アラートが発表されており、熱中症による救急搬送件数が、昨年と比べて大幅に増加しています。こまめな水分補給や炎天下での外出を控えるなど、適切な対策を呼びかけてまいります。
次に子育て支援についてです。
6月から、市内6箇所の民間保育施設で、保護者の就労要件を問わず施設を利用できる「こども誰でも通園事業」を試行しています。現在、29名のお子さんが、家庭とは異なる経験や家族以外の人との関わりを体験しており、さらなる子どもの心身の成長につながることが期待されます。今後も、制度の本格実施に向けて、課題やニーズの整理を行い、改善を図ってまいります。
次に男女共同参画社会の実現についてです。
7月29日、男女共同参画社会の実現に向けた標語コンクール授賞式を行いました。中学生と一般から109作品の応募があり、性別にかかわらない社会参加や個人の尊重などが表現された最優秀、優秀作品の受賞者5名に賞状と記念品の贈呈を行いました。
次に、企業立地についてです。
6月から7月にかけて、受注拡大に伴う立地表明や増設報告が4件あり、それぞれの概要は次のとおりです。
日鉄精密加工株式会社は、焼付塗装ラインを増設し、投資額2.2億円、雇用者数2人、令和7年2月の操業開始予定です。
有限会社東栄工業所は、最新鋭の粉体塗装ラインを増設し、投資額3.3億円、雇用者数4人、令和7年10月の操業開始予定です。
THKリズム株式会社は、産業機器製造ライン等を増設し、投資額1.5億円、雇用者数6人、令和6年10月の操業開始予定です。
株式会社浜岳製作所は、溶接関連機械設備を増設し、投資額2.5億円、雇用者数1人、令和6年9月の操業開始予定です。
今後も中津市内で投資を行う企業の活動を支援してまいります。
次に、産業支援についてです。
8月9日、「女性起業家支援事業NAKATSU arch」のキックオフイベントを開催しました。「福澤諭吉の女性論-『一身独立』のすゝめ」と題した慶應義塾の西澤直子教授による講演や、市内女性起業家たちとのトークセッションを行いました。市内外より50名の参加者が集まり、起業家精神を育むための学びと交流の場となりました。
次に農業振興についてです。
6月27日、大分県庁で福岡県の農業法人、株式会社エフワイアグリの中津市への参入表明及び参入協定締結式を行いました。現地法人「株式会社エフワイアグリ大分」を設立し、令和6年度からいちごの生産を、令和10年度からはアスパラガスの生産を予定しております。今後も大分県と連携して支援を行ってまいります。
次に観光振興についてです。
4月から6月の3か月間、福岡・大分デスティネーションキャンペーンが開催されました。中津市では、観光機運が高まるこの機会をチャンスと捉え、連携した各種イベントを開催し、観光客の受入れを行いました。一つは、日本遺産「やばはく2024春」の開催です。キャンペーンにあわせて、例年の開催期間から2ヶ月間延長し、プログラム数、参加者数ともに過去最多となる29体験プログラム、5,691名の方に参加いただきました。次は、やばけい遊覧デジタルdeスタンプラリーの開催です。観光客の長期滞在化と地域経済の活性化を目的に、「やばはく」と連動して実施し、のべ1,477名の応募がありました。全国から訪れた観光客へ中津市の魅力をさらに知っていただく機会となり、今後の観光リピーターに繋がっていくものと期待しております。
また、6月7日からの2日間、「第55回全国ホタル研究会大分県中津・耶馬渓大会」が開催されました。全国の会員から研究成果や活動報告が行われる中、中津南高等学校耶馬溪校と城井小学校の児童生徒によるホタル授業の取組も発表されました。さらに、2日目に行われた耶馬溪町でのコンサートにも、多くの参加者に来場していただきました。
次に、「不滅の福澤プロジェクト」についてです。
5月30日、日本郵便よりオリジナルフレーム切手「郷土の偉人 福澤諭吉」が発行されました。
6月22日、福澤諭吉先生の玄孫で数々のヒットドラマを監督として手掛けた福澤克雄氏による講演会を開催しました。当日は大ヒットドラマ『VIVANT』に出演された富栄ドラム氏もゲストとして登壇いただき、700名を超える来場者を楽しませてくださいました。
7月2日には、埼玉県の深谷市立豊里小学校の4年生、6年生と、北部小学校の6年生の間でオンライン交流を行いました。北部小学校の児童は、大分県や中津市、福澤諭吉先生について、豊里小学校の児童は深谷市や渋沢栄一翁のことについて、お互いにクイズなどを交えて紹介しあいました。
紙幣肖像交代の日である7月3日には、東京証券取引所において「新紙幣発行記念一万円札引継式」を深谷市と開催しました。また、同日、日本銀行本店において長年に渡り日本銀行券の広報や流通に貢献したとして、感謝状と最後の一万円札を日本銀行の植田総裁よりいただきました。この最後の一万円札は7月16日に福澤記念館においてお披露目式を行い、昭和59年1号券と平成16年1号券とともに3枚並べて展示を行っております。
7月11日、南部小学校において、福澤諭吉先生肖像画のお披露目式を行いました。福澤先生の肖像画は、福澤先生に興味や愛着を持ち、また誇りに感じてもらえるように、市内の全ての小中学校及び公民館に設置を進めています。
一つの区切りを迎えた不滅の福澤プロジェクトですが、プロジェクトの理念は生き続け、9月10日には、中津市出身の永松茂久氏が福澤諭吉先生と『学問のすゝめ』を題材にして書いたビジネスファンタジー小説『拝啓、諭吉様。』の発売が予定されております。今後も中津市はもちろん、市や福澤先生に縁のある方々とも連携し、様々な形で顕彰事業を継続するとともに、福澤先生の教えをさらに全国へと発信し、中津の「学び」の土壌を広げてまいります。
次にスポーツ振興についてです。
令和6年度全国高等学校総合体育大会が北部九州4県で開催され、中津市では7月25日から8月4日にかけて、男女バレーボール競技大会が行われました。大会期間中、のべ約5万人の方が全国各地から中津市へお越しいただきました。大会4日目には、バレーボール競技大会においては初となるパブリックビューイングを中津文化会館で行い、地元の東九州龍谷高等学校の試合を含む3試合をより多くの方に観戦していただきました。今後もスポーツ大会の誘致に努めてまいります。
次に、公共交通網の整備についてです。
公共交通利用者のニーズに沿った新たな移動手段の確保として、三光地区において7月1日からデマンド型交通サービスの実証運行を開始しました。また、山国地区においても、10月1日から同様の実証運行を開始する予定です。利用者の利便性や地域の実情を考慮しつつ、持続可能な公共交通のあり方を検討してまいります。
次に道路整備についてです。
平成25年度から整備を進めてきました、県道臼木沖代線と大貞加来一号線の交差点改良事業が7月に完了し、県道に右折レーンが整備され、信号機は点滅式から定周期式へ変わりました。これにより、ダイハツ九州スポーツパーク大貞でのイベント開催時における渋滞緩和が図られるとともに、通学児童を含めた歩行者がより安全に道路を横断できるようになりました。また、道幅が狭く離合が困難であった薦神社東側の市道御澄池東通り線についても拡幅・歩道整備工事が完了いたしました。今後も、市民の皆様の生活に身近な道路の整備を進めてまいります。
次に、あらゆる主体との連携についてです。
7月10日、アクサ生命保険株式会社と、未来を担うこどもの育成・教育、健康増進、地域振興・産業振興など、地域の活性化及び市民サービスの向上を目的とした包括連携協定を締結いたしました。今後本協定に基づき、幅広い分野で連携した取組を行ってまいります。
また、7月12日、処分の難しい不動産を専門的に扱う株式会社KLCと、利活用困難な遊休不動産の流通促進に係る連携協定を締結しました。令和4年9月に同社代表が渋谷キューズで実施したワークショップに参加したことがきっかけとなり、以降、公共施設の管理方針等について、定期的に助言をいただいていました。今後は、この協定に基づき、老朽化した公共施設や市内の空き家の利活用、遊休不動産の情報発信、市民向け空き家セミナーを実施する予定です。
さらに、渋谷キューズでの会員交流が契機となり、7月17日から23日までの1週間、株式会社東急モールズデベロップメントが神奈川県川崎市の武蔵小杉駅に開設しているトライアルショップ「Canvas βase」にて、「九州・中津こだわりショップ」を出店いたしました。首都圏のチャレンジショップに市として出店するという初めての取組ではありましたが、市内の事業者にも参加いただき、なかつ6次産業推奨品をはじめ市内の自慢の産品を首都圏でPRすることができました。今後も、事業者の顧客獲得と販路拡大及び市の魅力発信に努めてまいります。
次に、多文化共生・国際交流の推進についてです。
7月から、外国人総合相談センターに、ミャンマー語とベトナム語が話せる相談員がそれぞれ加わりました。毎月第1土曜日にミャンマー語、第2土曜日にベトナム語での相談に対応します。
また、現在、公民館講座として行っている2つの日本語教室に加えて、今年度は「こんにちはにほんご」と題した教室を大分県と共催します。APUの先生を講師に迎え、新中津市学校で9月から週1回、全8週にわたり行います。センターへの相談にも多かった「日本語を初歩から学びたい」というニーズに応えた内容となっています。
いきいき今津まちづくり協議会主催による、国際交流イベントとして、6月23日、外国人6名と地域の方が、今津コミュニティーセンター横のミニ公園の花壇に350株の花の苗を植えました。作業後には、グラウンドゴルフや昼食会を楽しみ、親睦を深めました。8月24日には、今津校区納涼盆踊り大会が今津小学校グラウンドで開催されました。地元の企業で働く外国人技能実習生も参加し、地域の方々との交流を深めました。
7月22日には、中津青年会議所が「挨拶から始まる国際交流」と題したワークショップを開催しました。ワークショップでは、国際交流活動を行ってきた日本人とミャンマー人、2名の講師による実体験をもとにした話を聞き、参加者同士で意見交換をする中で国際交流の意識を高めました。こうした民間主体の取組が、地域での交流や多文化理解の促進に繋がるものと期待をしています。
以上をもちまして、報告を終わります。
議員の皆様方におかれましては、今後ともご指導ご協力いただきますようお願い申し上げます。