公開日 2024年11月20日
10月に上演された市民ミュージカル「人誰か故郷を思わざらん~福澤諭吉翁物語」は、中津文化協会が「不滅の福澤プロジェクト」の一環で実施しました。キャストを市民から公募、1年4か月の長きにわたり練習を重ね、1日2公演というハードワーク。福澤諭吉という固くなりがちな演目に挑戦、音楽を愛する出演者達が舞台や観客フロアー全体で躍動感あふれる演技を披露、先生の一生を見事描きました。
観客や出演者にお話を聞きました。「知っているつもりだったが、さらに福澤のすごさが分かった」「中津や家族への愛情など人間福澤を見つめることができた」「自分の出番でない時に舞台脇で他役の演技を見て涙がこぼれた」「この経験を活かし自分の将来の夢を実現したい」などの声。出演者と観客双方が『不滅の福澤プロジェクト』の真髄を感じ取っており嬉しくなりました。
ミュージカルの成功を支えたものは、中津の皆さんが培ってきた「音楽文化力」でしょう。中津市には合唱、舞踊、民謡、歌謡、楽器演奏などあらゆるジャンルで子どもから大人まで市民参加のイベントが数多く、音楽愛好熱は相当高い。中津祇園の御船歌、中津藩医前野良沢が愛した尺八(一節切)など歴史的に市民が音楽にいそしみ生活に取り入れてきた底力があるのです。
福澤先生も娘や孫に琴三味線や踊りを習わせ、自らも筝曲「六段」を弾きます。歌舞伎役者とも親交、歌舞音曲を愛し脚本を書き英語も教えたと言います。新聞に「芝居論」を発表、多面的な巨人です。「中津留別の書」から150年の時を超え市民が当時の登場人物になりきり、歌と踊りで表した福澤への熱い思い、天界の先生に届いたでしょうか。私の耳には「大好きなお酒を飲みながら楽しく見たよ。今も故郷中津は忘れられない。中津頑張れ」と先生の声。皆さんはいかがですか?
- 市民ミュージカル
(市報なかつ令和6年12月号掲載)