公開日 2025年06月02日
令和7年第2回定例市議会の開会にあたりまして、行政報告等を行います。
まず初めに、災害に強いまちづくりについてです。
3月15日、本庁舎の敷地内に、令和5年度から建設していた機械棟が完成しました。洪水や高潮による浸水想定区域内に位置していることから、本庁舎地下に配置していた非常用発電設備などを、想定される浸水の高さである3メートル以上へ移設しました。あわせて、非常用発電設備について、外部からの電源供給なしでも最大72時間の電源供給を行えるよう、機能強化を図りました。
3月27日には、トイレカーを所有する全国8つの自治体と、「災害時相互派遣に関する協定」を締結しました。大規模災害発生時のリスクに備えるため、今回の協定締結を契機に、今後も他の自治体との連携体制の強化を図ってまいります。
4月11日の「防災を考える日」には、災害への意識を高める取組として、防災講演会を開催しました。平成28年に発生した熊本地震の発災当初から避難所運営や被災者支援に携わられた徳山理恵先生を講師に迎え、自身の経験を踏まえた災害への備えについて、女性の視点からわかりやすく講演いただきました。
このほか、2月25日に、中津市防災士協議会と連名で、令和6年度水防功労者九州地方整備局長表彰を受賞しました。これは、小学生を対象とした「なかつジュニア防災リーダー」養成の取組が、地域住民の防災意識の普及に貢献しているとして評価されたものです。
今後も、様々な機関との連携による体制強化と、多方面からのアプローチにより、安全・安心に暮らせるまちづくりを進めてまいります。
次に、医療・保健の充実についてです。
中津市民病院は、4月1日付で、大分県北部医療圏では初となる「地域救命救急センター」の指定を受けました。重症及び複数の診療科領域にわたる重篤な救急患者を24時間体制で受け入れる第三次救急医療機関です。指定にあたり、専用病床12床を整備し、救急対応の体制強化を行うとともに、救命科医師が中心となり、各科専門医や専属看護師と連携して、24時間体制で救急患者の対応にあたります。
今後も、中津市民病院における救急医療体制の充実に努めるとともに、圏域内の医師会をはじめとした医療機関などと協力しながら役割分担を図ってまいります。
次に、多文化共生の推進についてです。
日本語を母語としない方々にも行政や暮らしの情報を届けるため、やさしい日本語で書いた「中津市で暮らす外国人のための本」をリニューアルしたほか、市ホームページも、記事をやさしい日本語へ変換する機能を追加しました。短く、分かりやすい文章で、より多くの方に市の情報を届けます。
また、4月30日、八面山野外音楽堂で開催されたミャンマー人のイベントでは、中津警察署と共に、中津市で暮らすミャンマーの方々に、やさしい日本語とミャンマー語で、守ってほしいルールや、困ったときの相談、ごみの出し方、交通ルールなどについて説明し、理解を深めていただきました。
5月18日には、中津青年会議所の主催で、外国人と地域住民の交流を目的とした「小楠クリーンアップ大作戦」が行われ、ごみ拾いを通して国際交流を深めました。この企画は今年、市内の他の地域でも開催される予定です。
次に、企業誘致の推進についてです。
山国地域において、3月8日に、株式会社グリーンコープミルクの新工場の落成式が行われました。山国地域における企業立地は37年ぶりのことであり、多くの地元住民が従業員として採用されています。今後、「生産地:山国町宇曽」と記載されたびん牛乳が、日本全国のグリーンコープ組合員のもとへ届けられることになります。
このほか、令和7年2月以降4件の立地表明がありました。
株式会社オモテは、蓄電池製造装置の生産などを行う第3工場の新築及び複合加工機械設備を増設します。投資額2億円、雇用者数2人、令和7年12月の操業開始予定です。
ルネサスエレクトロニクス株式会社は、半導体生産の組立・選別・包装・出荷を行っており、今回は車載用半導体の生産能力増強などを目的に増設します。投資額7億8千万円、雇用者数7人、令和8年8月の操業開始予定です。
九州市光工業株式会社は、ドアミラーやヘッドランプなどの自動車用部品の製造を行っており、受注拡大に対応するため、工場棟及び製造ラインを増設します。投資額20億円、雇用者数15人、令和8年9月の操業開始予定です。
株式会社GL HAKKOは、グラスライニング機器を製造しており、工場の増築及び製造設備の増設を行います。投資額7億6千万円、雇用者数18人、令和8年2月の操業開始予定です。
次に、産業支援についてです。
5月17日、ダイハツ九州アリーナにおいて、「中津市企業合同就職説明会」を開催しました。当日は、市内企業56社がブースを作り、市内外の高校生や大学生、一般求職者など222名が参加しました。
地元企業へ目を向け、職業への理解を深めていただくため、今後も企業の魅力発信と人材確保を支援してまいります。
また、燃料高騰の影響を受ける貨物運送事業者等の支援につきましては、令和7年4月末時点における申請件数は29件となっており、5月21日までに582万5千円を交付しております。
次に、中津ブランドの推進についてです。
九州・中津逸品もん認証品の販売促進を目的として、福岡と東京で販売会と商談会を開催しました。2月19日から3月4日までの2週間、福岡市の博多マルイで認証品の販売と中津のPRを、3月18日には、東京の日本航空株式会社の本社ビルで、社員向け販売会をそれぞれ開催しました。翌19日には、渋谷キューズにおいて、中津市内の7事業者とともに、市内産品の商談会を開催しました。首都圏の専門店や量販店などの食品バイヤーにご来場いただき、商品の紹介に対する評価やアドバイスなどを得る貴重な機会となりました。
次に、観光の振興についてです。
国の重要文化財にも指定されている「耶馬渓橋」について、令和5年7月の大雨により被災し、1年8ヶ月にわたり通行止めとなっていましたが、復旧工事が完了し、3月6日から通行が可能となりました。
3月4日から5月11日までの間、日本遺産「やばはく2025春」が開催されました。全29種類の体験プログラムが実施され、延べ5,014人の方々が参加しました。今回は、電動小型自動車で耶馬渓の春の新緑を巡るオンラインガイドツアーや、名勝耶馬渓66景の一つである伊福の景で行われたヨガ体験など新しいプログラムも実施されました。
また、5月11日には、旧下毛地域を会場に、サイクルイベント「第3回ツールドやばけい」が開催され、国内だけでなく海外も含めて、8歳から84歳まで、計480名の参加がありました。全長150キロメートルの上級者コースをはじめ、難易度別に4種類のコースがあり、参加者は耶馬渓の美しい景色を楽しんだほか、コース途中に設けられた休憩所であるエイドステーションでは、地域の食材を使ったグルメを味わいました。
なお、5月9日から12日までの間、「サイクルツーリズム及び観光友好交流の促進に関する協定」を締結している台湾の台中市政府訪問団が中津市を訪れ、「ツールドやばけい」への参加のほか、各観光地の視察を行いました。
次に、地域資源を活かしたにぎわいづくりについてです。
3月21日から23日にかけて、「第2回山国映画祭」がコアやまくにで開催されました。最終日には、山国地域一円で撮影が行われた菊池路介監督の映画『スプラヒスピル』が上映されました。舞台となった山国地域の住民も作中にエキストラとして出演するなど、地域住民も一体となって制作された作品となっています。
3月22日には、山国町守実商店街において、中津市中山間地域活性化支援事業補助金を活用した「中津みらい義塾」がオープンしました。宿泊施設を備えたカフェとして、「まるっとまるごと学びの場」をコンセプトに、山国地域の豊かな地域資源を掘り起こした「学びのコンテンツ」を提供し、地域住民と来訪者、大学、企業などの交流を促進することで、関係人口の創出と中山間地域の活性化への貢献を目指しています。
また、中津市出身の作家である芥川なお氏が出版した純愛小説『ストロベリームーン』が実写映画化され、10月17日に公開されます。作中に登場する印象的なシーンは、八面山や中津南高等学校、三光のひまわりなどをイメージして執筆されたとのことであり、映画の公開にあわせて、原作のモデル地としてPRしていきます。
次に、衛生環境の整備についてです。
5月22日から、新しいごみ処理施設の整備に関する市民説明会をスタートし、6月22日までに市内16箇所で、合計32回開催する予定です。中津市のごみの現状や、新しいごみ処理施設整備の考え方、建設候補地の選定方針、広域処理に向けた検討状況などについて、丁寧な説明を行っているところです。
次に、公共インフラの整備と活用についてです。
令和5年度から進めてまいりました、ディーアクトスポーツパーク永添(永添運動公園)北東の見通しの悪い交差点の改良工事が、3月に完了しました。交差点内の樹木が撤去され、車・歩行者双方からの見通しが良くなり、安全性が向上しました。
また、三保小学校への通学路となっている、三保交流センター西側市道の歩道整備工事が完了し、小学生をはじめ歩行者が安全に通行できるようになりました。
このほか、田尻ファミリー公園トイレの新築工事が完了し、3月22日に供用開始しました。新築されたトイレは、公園遊具やソフトボールグラウンドの利用者からの要望を踏まえ、バリアフリー基準への適合を図ったほか、温水洗浄便座や小児用補助便座、防犯カメラなどを設置し、利便性と防犯性の向上を図りました。
次に、学びの里なかつの推進についてです。
学びの里なかつ推進プロジェクトの一環として、4月25日、26日に「生成AIに関するワークショップ」を、一般財団法人未来を創る財団と協働して開催しました。2日間で100名を超える方にご参加いただき、国内外の最新情報も交えながら、生成AIを活用するコツを学ぶことができました。現在は、生成AIを「試す」段階から、「活用する」段階に移っています。今後も、今の時代に必要な学びを提供してまいります。
また、なかつ情報プラザでは、パソコンの基礎講座や小学生を対象としたプログラミング講座など、幅広い世代の方々へのデジタル技術習得の機会を提供しています。今年度からスマートフォン講座も開始し、より一層の地域情報化の推進、情報格差の解消に取り組んでまいります。
このほか、中津南高等学校耶馬溪校の全国募集に向け、4月から「学校コーディネーター」として、地域おこし協力隊員を採用しました。耶馬溪校の魅力アップや情報発信、探究学習の支援などの活動を行ってまいります。
次に、あらゆる主体との連携についてです。
富山県で創業し、家庭や事業所への配置薬販売をはじめとした医薬品の製造・販売を行う株式会社富士薬品と、3月13日に、健康増進等に関する包括連携協定を締結しました。災害時の医薬品の提供や、健康情報の発信、高齢者の見守りなど、幅広い分野で連携してまいります。
次に、今後の市政運営に係る計画策定についてです。
3月に、中津市におけるこども・子育て支援施策の総合指針となる「中津市こども計画」を策定しました。「こどもまんなか住み良いなかつ?全てのこどもが健やかで輝きに満ち、未来を彩るまち?」を基本理念としております。「中津で生まれ育って良かった」「中津で子育てして良かった」と実感していただけるよう、「こどもまんなか住み良いなかつ」の実現に向けて取り組んでまいります。
また、令和7年度からの5年間を計画期間とする「第3期中津市版まち・ひと・しごと創生総合戦略」を3月に策定しました。新たな戦略に基づき、人口減少の抑制、雇用の確保、交流人口の拡大などの地方創生と、暮らし満足、Well-Beingの向上につながる取組をさらに推進していきます。
以上をもちまして、報告を終わります。
議員の皆様方におかれましては、今後ともご指導ご協力いただきますようお願い申し上げます。