公開日 2017年11月17日
更新日 2021年08月30日
複数種の所得金額を合算して、総所得金額とする「総合課税」と、他の所得と合算せずそれぞれの所得ごとに計算する「分離課税」の2種類があります。
総合課税されるもの
給与所得
勤務先から支払を受ける、給料・賃金・賞与等(パート・アルバイト収入を含む)を給与等収入といいます。その総額から、給与所得控除額を差し引いたものが、給与所得となります。
給与所得の金額=収入金額-給与所得控除額
事業所得
農業、製造業、小売業、サービス業、その他の事業 (医師、作家、自由業等)による所得をいいます。「営業等所得」と「農業所得」に分けて取り扱われます。
事業所得の金額=総収入金額-必要経費
※事業専従者控除
納税者と生計を一にする配偶者、その他の親族(前年の12月31日の現況で年齢が15歳以上)が原則として、1年を通じて6ヶ月を超える期間専らその事業に従事した場合、次の1か2のいずれか低い方の金額が、その事業に係る所得から控除されます。(注意:青色申告対象者を除く)
- 配偶者の場合860,000円、配偶者以外の場合500,000円
- (事業所得、不動産所得または山林所得の各所得)÷(事業専従者の数+1)
※家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例が適用される方は、必要経費(550,000円)の最低保証があります。(他に給与所得を有する場合には、給与所得控除額を控除した残額とします。)
不動産所得
土地・建物等の不動産を貸したりすることにより生じる所得をいいます。
不動産所得の金額=総収入金額-必要経費
一時所得
生命保険の満期返戻金や解約返戻金、クイズの賞金など一時的な性質をもっている所得をいいます。
※一時所得については、所得金額の2分の1が税額計算の対象になります。
一時所得の金額=総収入金額-必要経費-特別控除額(500,000円限度)
譲渡所得
貴金属、骨董品、ゴルフ会員権、著作権等の資産を譲渡した場合に生ずる所得をいいます。
保有していた期間が、その取得の日以後譲渡の日までの保有期間が5年以内の資産を譲渡したときの所得を「短期譲渡所得」、5年を超える資産を譲渡したときの所得を「長期譲渡所得」といいます。
※長期譲渡所得については、所得金額の2分の1が税額計算の対象になります。
譲渡所得の金額=総収入金額-必要経費-特別控除(500,000円限度)
(注意)土地・建物および株式等の譲渡所得については分離課税(他の所得と分離して税額を計算)となります。
配当所得
株式会社等の法人から受ける利益の配当、余剰金の分配等による所得をいいます。
配当所得の金額=収入金額-負債の利子
雑所得
公的年金等による所得、およびその他の所得(給与・事業・不動産・一時・譲渡・配当・利子・山林・退職に当てはまらない所得)をいいます。
公的年金等(国民年金・厚生年金・共済年金・軍人恩給等)の収入のある場合
雑所得の金額=公的年金等収入金額-公的年金等控除額
※公的年金等控除額は、公的年金等収入額および前年の12月31日の現況で65歳以上か65歳未満かによって異なります。(次の「公的年金等控除速算表」を参照。)
※遺族年金、障害年金、軍人遺族年金等は課税の対象とはなりません。
分離課税されるもの(主なもの)
分離課税は、総合課税とは税金の計算方法が異なります。
利子所得
公社債、預貯金などの利子による所得をいいます。利子所得に対する住民税(市・県民税)は源泉徴収されますので、申告する必要はありません。
(注意)日本国外の銀行預金の利子など所得割(総合課税)の対象になるものもあります。
山林所得
山林の伐採による所得または山林(立木のまま)の譲渡による所得をいいます。
山林所得の金額=総収入金額-必要経費-特別控除額(500,000円限度)
退職所得
退職手当、一時恩給その他の退職によって一時に受ける給与およびこれらの性質を有する給与並びに退職手当等とみなされる一定の給付一時金に係る所得をいいます。
原則として退職金等の支給時に差し引かれます(特別徴収)。
退職所得の金額=(収入金額-退職所得控除額)×2分の1
(注意)ただし、所得税法第30条第4項に規定する役員等で、勤続年数が5年以下である者が支払を受ける場合については、(収入金額-退職所得控除額)の額とする。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 400,000円×勤続年数(計算した額が800,000円未満の場合は800,000円) |
20年超 | 8,000,000円+700,000円×(勤続年数-20年) |
※障害者になったことに直接起因して退職した場合は、上記に1,000,000円を加算します。
土地・建物等の譲渡所得
土地・建物や借地権等を売った(譲渡した)場合に生じる所得をいいます。
土地・建物等を所有していた期間が、譲渡した年の1月1日において5年以下の場合「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」といいます。
譲渡所得の金額=総収入金額-必要経費-特別控除額
※税率や特別控除額の適用は、土地・建物等を所有していた期間や譲渡先等により異なります。
株式等の譲渡所得
株式等を譲渡したときに生じる所得をいいます。
譲渡所得の金額=総収入金額-必要経費
先物取引による雑所得等
商品先物取引、有価証券先物取引、取引所金融先物取引による所得をいいます。
先物取引に係る雑所得等(事業所得、譲渡所得分も含む)=総収入金額-必要経費