公開日 2020年12月15日
更新日 2020年12月15日
給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振り替え
働き方の多様化を踏まえ、働き方改革を後押しする観点から、給与所得控除および公的年金等控除が見直され、基礎控除に振り替えられるなどの改正がされます。ただし、850万円未満の給与収入者や1,000万円未満の年金収入者は、基礎控除の引き上げと同額の控除引き下げが行われるため、原則税額は変わりません。
なお、扶養控除など適用を受けられる所得の要件(38万円→48万円)も10万円引き上げられます。(例:給与収入が103万円以下で変わらなければ、引き続き扶養控除が適用できます。)
基礎控除が一律10万円引き上げられます
前年の合計所得金額が2,400万円を超える所得割の納税義務者については、基礎控除が段階的に引き下げられ、2,500万円超の場合は適用できません。
給与所得控除の見直し
- 控除額が一律10万円引き下げられます。
- 給与収入が850万円以上の場合は、控除額が一律195万円となります。
公的年金等控除の見直し
- 控除額が一律10万円引き下げられます。
- 公的年金等収入が1,000万円を超える場合は、控除額が一律195万円5千円となります。
※公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円を超える場合は10万円、2,000万円を超える場合は20万円が、控除額から引き下げられます。
所得金額調整控除の創設
給与所得控除及び基礎控除などの見直しが行われたことから、所得金額調整控除が創設されました。
次に該当する場合は、給与所得から所得金額調整控除が適用されます。
子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除
給与所得控除の上限額が220万円から195万円に引き下げられたことにより、給与等の収入金額850万円を超える人は、税負担が増えることとなります。そこで、子育てや介護に対して配慮する観点から、負担が増えることのないように所得金額を調整する制度が設けられました。
次の1から3のいずれかに該当する場合には、給与等の収入金額(上限1,000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額が、給与所得の金額から控除されます。
- 本人が特別障害者に該当する
- 年齢23歳未満の扶養親族を有する
- 特別障害者である同一生計配偶者もしくは扶養親族を有する
給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除
給与所得と公的年金等に係る雑所得の双方を有する者に対する所得金額を調整する制度が設けられました。
給与所得及び公的年金等に係る雑所得の金額があり、給与所得及び公的年金等に係る雑所得の金額の合計額が10万円を超える場合には、給与所得(10万円を限度)及び公的年金等に係る雑所得(10万円を限度)の金額の合計額から10万円を控除した残額が、給与所得の金額から控除されます。
- 給与所得の金額から控除できる金額は最大10万円
- 上記、子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用がある場合は、適用後の金額から控除されます。
非課税基準・所得控除等の適用に係る合計所得金額要件等の見直し
所得控除及び基礎控除の変更に伴い、合計所得金額要件等も直されました。
未婚のひとり親家庭に対する税制所の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し
全てのひとり親家庭に対して公平な税制を実現する観点から、「婚姻歴の有無による不公平」と「男性のひとり親と女性のひとり親の間の不公平」を同時に解消するために改正され、令和3年度以降の市県民税より適用されます。
- 現行の「特別の寡婦」・「寡夫」が、「ひとり親」に変わり、「寡婦」に所得要件が追加されました。
- ひとり親控除、寡婦控除のいずれについても、住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある人は除きます。
- 合計所得金額が135万円以下(改正前は125万円以下)である方は、市県民税の非課税措置の対象となります。
チケット払戻請求権を放棄した観客などへの寄附金税額の特例について
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、文部科学大臣が指定する一定のイベントが中止・延期・規模縮小された際に、チケットの払い戻しを受けない(放棄する)ことを選択された方は、所得税や市県民税の寄附金控除を受けることが出来る制度が設けられました。
所得税の寄附金控除の対象となるイベントのうち、行事の入場料金等払戻請求権の全部又は一部を放棄し、県・市町村が住民の福祉増進に寄与するものとして条例で定めるものが、市県民税の寄附金控除の対象となります。
対象のイベント
寄附金控除の対象となるイベントは、次の要件をすべて満たすイベントのうち文部科学大臣が指定したものになります。
- 令和2年2月1日から令和3年1月31日までに日本国内で開催または開催予定の不特定かつ多数の者を対象とする文化芸術・スポーツイベント
- 新型コロナウイルス感染症及びその蔓延防止の為の措置により、中止等となったもの
- 中止等の場合には、入場料金・参加料金等の対価の払い戻しを行う規定等があるもの又は現に払い戻しを行っているもの
寄付金控除するまでの流れ
- イベントが文化庁・スポーツ庁の指定イベントであることを各庁ホームページにて確認してください。
- 対象イベントの主催者へ払戻を受けないことを連絡します。
※その際チケットの原本が必要な場合がありますので、必ず保管してください。 - 主催者から「指定行事証明書」と「払戻請求権放棄証明書」を入手してください。
- 確定申告の際に、上記2点の証明書を添付して申告してください。
※ふるさと納税ワンストップ特例の申請を行っている人で別途確定申告を行う場合は、ワンストップ特例の適用がされず寄附金控除が適用されなくなりますので、ふるさと納税を行った分も寄附金控除として申告してください。
控除対象税目
令和3年度又は4年度の市県民税(放棄した年の翌年の市県民税から控除されます。)
控除額
(寄附金額合計-2,000円)×10%
※控除対象となるチケット料金は、年間で最大20万円です。なお、他の寄附金税額控除の対象額も合わせて、総所得金額の30%が上限となります。