公開日 2025年07月14日
更新日 2025年07月15日
プレコンセプションケアとは、プレ(pre)は「~の前」、コンセプション(conception)は「受胎」で、「妊娠前からのケア」を意味します。希望する方が妊娠・出産を実現できるよう、若いうちから妊娠・出産や自身の健康に関する正しい知識を持ち、自身の健康管理を意識することで、より素敵な人生を送ることを目指すヘルスケアの概念です。若い世代が、日々の生活や健康と向き合うことで、将来自身が希望するライフプランを叶えるほか、次世代を担う子どもの健康にもつながるとして近年注目されています。
なぜ今、プレコンセプションケアが注目されているの?
- リスクの高い妊婦の増加
若い女性のやせすぎと肥満の増加、出産年齢の高齢化などから、リスクの高い妊娠が増加しています。妊娠前からもっている母体のリスク因子が妊娠・出産・赤ちゃんの健康に影響するため、妊娠前にリスクを減らしていくことが、健やかな妊娠・出産や生まれてくる赤ちゃんの健康につながります。 - 不妊症の増加
「生理不順を放置していた」「生理痛をがまんしていた」など月経トラブルの放置は、将来の不妊の原因となることがあります。また、不妊症は「女性の問題」と思われがちですが、不妊の原因の約半分は男性にもあると言われています。男女ともに健康管理をして、妊娠や出産に関する正しい知識を得て行動することは、将来の不妊のリスクを減らします。 - 人生100年時代を生きるために
子どもを持つ選択をするかしないかに関わらず、プレコンセプションケアを実施することで、より豊かな人生につながります。あなたが将来やりたいことを思いっきり楽しむためには、健康であることが第一です。
(引用:国立研究開発法人 国立成育医療研究センターホームページ)
プレコンセプションケアの3つの目的
- 若い世代の健康増進と生活の質の向上
- 将来の健康増進
- 健全な妊娠・出産と次世代の健康
いまはまだ妊娠や出産を考えていなくても、プレコンセプションケアを実施することで、今の自分がもっと健康になり、人生100年時代の満ち足りた自分(well-being)の実現につながります。
健康的な生活を送ろう!
適正体重を保つ
適正体重はどのくらいか知っていますか?
BMI(体格指数)で18.5以上25未満が適正体重です。
過度なダイエットによるやせすぎ(BMI18.5未満)は、ホルモンバランスを崩し、不妊の原因になると言われます。貧血やメンタルの不調、骨密度の低下などへも関与します。
一方で肥満(BMI25以上)は、糖尿病や高血圧など、男女ともさまざまな病気の土台となります。
BMI算出方法:体重(キログラム)÷身長(メートル)÷身長(メートル)
食生活を整える
1日3食 主食(ごはん・パン・麺類)、主菜(魚・肉・卵・豆腐などの大豆製品)、副菜(野菜を中心にした料理)を組み合わせて、バランスのよい食事をとるように心がけましょう。時間がないから、太りたくないからと食事を抜くと栄養不足になってしまいます。3食しっかりとるようにしましょう。
若い女性に多い貧血は、立ちくらみやだるさなどの症状があります。また、妊娠中の貧血は、早産および分娩後の母体感染のリスクを高めます。日頃から、貧血予防に欠かせない鉄を多く含む食品(赤身肉・赤身の魚・ほうれん草・小松菜・高野豆腐など)を積極的にとりましょう。
また、葉酸(ほうれん草・ブロッコリー・枝豆・かぼちゃ・納豆・いちごなど)は胎児の発育に欠かせないビタミンです。妊娠前から妊娠初期にかけて葉酸をとることで胎児の二分脊椎症や無脳症など神経管閉鎖障がいの発生リスクが低減するといわれています。
※食推さんお勧めレシピを定期的にHPにアップしています。詳しくは、食育推進 ( 大分県中津市)をご覧ください。
適度な運動
1週間に150分程度、少し息がはずむくらいの運動が目安とされています。ウォーキング、筋力トレーニングやヨガなどできることから始めてみましょう。適度な運動は、適正体重の維持に役立ちます。また、血行の改善、筋肉の増加、骨の強化といった健康効果が得られるほか、ストレス解消など心にも良い影響を与えます。
大分県では、健康寿命日本一の実現に向けて、県民のみなさんの運動習慣定着を支援するため、公式健康アプリ「おおいた歩(ある)得(とっく)」を運用しています!皆様もダウンロードしてみませんか?
詳しくは、新健康アプリ「あるとっく」リリース!(大分県ホームページ)をご覧ください。
質の良い睡眠をとろう
睡眠不足は、うつ病や生活習慣病の悪化など、心身に不調を及ぼします。
体内時計を整えるために、まずは寝る時間、起きる時間を見直すことなどから始めてみましょう。
【成人】
- 睡眠時間は6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保しましょう!
- 日常の食生活や運動、寝室の睡眠環境などを見直して、睡眠休養感を高めましょう!
- 睡眠の不調・睡眠休養感の低下を感じる時は病気が潜んでいることもあるので注意が必要!
【中学・高校生】
- 睡眠時間は8~10時間を目安として必要な睡眠時間を確保しましょう!
- 朝は太陽の光を浴びて、朝食をしっかりとり、日中は運動をして、夜更かしはほどほどに!
詳しくは、健康づくりのための睡眠ガイドリーフレットをご覧ください。
(引用:健康づくりのための睡眠ガイドリーフレット 厚生労働省)
たばことお酒に注意
たばこは、がんや心臓病など多くの病気を引き起こすばかりか、男女ともに不妊のリスクを高め、胎児の発育にも影響します。パートナーや周囲の人からの受動喫煙も同様です。身近な人にも禁煙をお願いしましょう。
お酒の飲みすぎは、心身共に悪影響を及ぼします。あらかじめ量を決めて飲むなど、適度な飲酒を心がけましょう。妊娠中の飲酒は、赤ちゃんの発育に悪影響を与えます。妊娠したらお酒を控えましょう。また、アルコールは母乳に移行することから、授乳中もお酒は控えましょう。
中津市では禁煙パッチ無料配布しています!
詳しくは、あなたの禁煙を応援します!(大分県中津市)をご覧ください。
ストレスを溜め込まないようにしよう
現代社会はストレスが多く、こころの不調を抱えることもあるでしょう。まずは自分がストレスを感じていることに気づくことが大切です。また普段から自分なりのストレス解消法を見つけておきましょう。体を動かす、腹式呼吸をする、今の気持ちを書き出してみるのもおすすめです。困ったときには、専門の窓口に相談しましょう。
※ストレスのことや相談窓口情報は、こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~(厚生労働省)をご覧ください。
感染症から自分を守ろう!
若い世代の方で性感染症が増えています。性感染症は性交渉で感染し、男女とも不妊の原因になったり、赤ちゃんの健康に影響を及ぼす可能性があります。気になる症状があれば早めに検査を受け、治療を行うことが重要です。パートナーがいる場合は、お互いに感染することがないように、パートナー間で予防・治療に取り組むことが大切です。また、風疹など妊娠中に感染すると赤ちゃんの健康に影響を与える恐れのある感染症もあります。男女ともに予防接種をうけているか確認し、必要なワクチンは接種するように心がけましょう。
<特に気をつけたい感染症について>
- 性器クラミジア感染症…性感染症の中でも最も感染者が多く、卵管が閉塞・癒着することがあり、不妊の原因になることが知られています。
- 梅毒…性感染症である梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡などが起こることがあります。
- 風疹…妊娠中(特に妊娠20週頃まで)にかかると赤ちゃんが難聴・白内障・先天性心疾患を特徴とする先天性風疹症候群をもって生まれてくる可能性が高くなります。
- ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症…子宮頚がんの原因になるので、女性はワクチンやがん検診を受けましょう。
詳しくは、性感染症(厚生労働省)をご覧ください。
予防接種・ワクチン情報(厚生労働省)で予防接種・ワクチン情報を確認することができます。
中津市では子宮頸がん予防(HPV)のワクチン接種に助成を行っています!
HPVワクチンは、子宮頸がんの原因となる、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンで、小学6年生から高校1年生までの女性を対象に接種が行われています。積極的な接種勧奨がなく接種機会を逃した方(平成9年4月1日~平成21年4月1日生まれの女性)を対象に、キャッチアップ接種が令和4年度から6年度までの3年間実施されました。このキャッチアップ接種実施期間に1回以上接種をされた方は、令和8年3月31日までに残りの回数を公費で接種できます。
詳しくは、HPV(子宮頸がん予防)ワクチンのキャッチアップ接種についてをご覧ください。
中津市では大人の風しん抗体検査及び予防接種の費用の一部助成を行っています!
免疫を持っていない女性が妊娠初期に風しんに罹患すると、生まれてくる子どもが、白内障、先天性心疾患、難聴などの症状がある「先天性風しん症候群」を発症する可能性があります。そのため、中津市では、風しんの感染予防対策として、風しん抗体検査の費用を一部助成し、抗体価が十分でない女性及び同居者に対し、予防接種費用も一部助成します。詳しくは、大人の風しん抗体検査及び予防接種の費用の一部助成について(大分県中津市)をご覧ください。
また、大分県の「風しん抗体検査費用助成制度」を利用すると、妊娠を希望する女性及び同居者が、県指定医療機関での風しん抗体検査を無料で受けることができます。詳しくは、大分県ホームページ「 風しん抗体検査費用助成制度について」をご参照ください。
中津市では不妊治療費の一部助成を行っています!
不妊治療費助成については、【助成拡大】不妊治療費等の助成範囲と助成対象者を拡大しました。(大分県中津市)をご覧ください。
生活習慣病やがん予防に向け検診を受けましょう!
生活習慣病やがんは、自覚症状がない段階で早期発見・早期治療することで重症化を予防できます。定期的に健診をうけましょう。また、お口の健康は全身の健康につながっています。定期的な歯科健診も習慣にしましょう。持病の健康管理や健康に関することをなんでも相談できるかかりつけ医を持つことも重要です。
中津市では、20歳から39歳の方に健診を行っています!
詳しくは、20代30代健診のお知らせ(大分県中津市)をご覧ください。
【女性は20代からがん世代】
子宮頸がんや乳がんは、20~30代から増加します。検診の機会は逃さず受診してください。
中津市では、乳がん検診・子宮頸がん検診を行っています!
検診項目 | 対象 | 検診項目 | 料金 |
---|---|---|---|
乳がん検診 | 30歳以上 |
|
1,000円 |
子宮頸がん検診 | 20歳以上 | 子宮頸部の細胞診、内診 | 1,000円 |
詳しくは、令和7年度中津市がん検診について(大分県中津市)をご覧ください。
中津市では、妊婦さんを対象に歯科健診を無料で実施します!
妊娠により、ホルモンのバランスや食生活習慣の変化などによって、口腔内ではう蝕や歯肉炎が進行しやすくなります。妊娠期の歯科健診は、口腔内の問題を早期に発見し適切に対処するとともに、妊婦自身と生まれてくるお子さまの歯の健康を守ることにつながります。
詳しくは、妊婦さんの歯科健診(大分県中津市)をご覧ください。
プレコンセプションケアチェックシート
プレコンセプションケアチェックシートを用いることで自分の身体の状態を振り返ることができます。自分自身の健康のため、これからの将来のためできることから始め、チェック項目を増やしていきましょう!
- 女性用
- 男性用
(引用:プレコン・チェックシート 国立成育医療研究センター)
相談窓口のご紹介
「中津市こども家庭センター」では、妊娠期から子育て期にかかる切れ目ない相談支援を行います。
こども家庭センターでは地域のさまざまな施設や機関と連携・協働し「ワンチーム」として、妊産婦や子ども、その保護者が安心して子どもを産み育てられるように、包括的な支援を行います。一人で悩み事を抱え込んでいませんか。相談者の皆様の意見や希望をお聞きし、さまざまな制度や支援につなぐことができるよう共に考えます。相談で知り得た個人の秘密はかたく守りますので、安心してご相談ください。
(相談窓口)こども家庭センター 母子保健係 電話 0979-22-1170
- おおいた妊娠ヘルプセンター
- おおいた不妊・不育相談センター hopeful(ホープフル)
不妊・不育、妊活等の妊娠にまつわるご相談をお受けします。
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