公開日 2025年06月27日
更新日 2025年06月27日
所有者不明土地について
土地の相続などの際に、誰が所有者なのか分からない土地が日本各地で増えています。
所有者不明土地が生じる主な原因としては、
・土地の相続の際に登記の名義変更が行われないこと
・所有者が転居したときに住所変更の登記が行われないこと
などがあげられます。
このような管理されずに放置された所有者不明土地は、周辺の環境や治安の悪化を招いたり、防災対策や開発などの妨げとなる可能性があります。また、長期間、相続登記をしないまま放置しておくことにより、土地の相続に関する関係者が増えていき、所有者を特定したり、土地を処分したりすることが極めて困難になってしまいます。
また、近年増加傾向にある所有者不明土地の発生を防止するため、これまで任意であった不動産の相続登記申請が、令和6年4月1日から義務化されています。
( 中津市HP:令和6年4月1日より相続登記が義務化されました! 参照)
所有者不明土地の解消について
所有者不明土地の問題を解消するため、令和3年4月に『民法等の一部を改正する法律』及び『相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律』が成立・交付されました。
この2つの法律では、所有者不明土地の発生を予防したり、すでに発生している所有者不明土地を滞りなく利用したりするために、次のような見直しと制度の創設が行われました。
詳しくは、法務省リーフレット(所有者不明土地の 解消に向けて、 不動産に関するルールが 大きく変わります。)をご確認ください。
ご家族が亡くなった後に、相続人等が利用できる制度
・法定相続情報証明制度
法定相続情報証明制度は、相続人が法務局(登記所)に必要な書類を提出し、登記官が内容を確認した上で、法定相続人が誰であるかを証明する制度です。
法定相続情報証明制度をご利用いただくことによって、各種相続手続で戸籍謄本の束を何度も出し直す必要がなくなり、相続手続をスムーズに進めることができます。
法務省が運営するYouTubeチャンネルに、法定相続情報証明制度に関する動画が掲載されていますのでご覧ください。
(※自動再生しませんので、上記「法定相続情報証明制度に関する動画」をクリックし、YouTubeにてご覧ください。)
・相続土地国庫帰属制度
相続(遺贈を含みます。)によって取得した土地について、所有者不明土地の発生を予防するため、一定の条件の下、国が引き取ることができる「相続土地国庫帰属制度」が、令和5年4月27日から開始されています。
基本的には、相続や遺贈によって土地の所有権を取得した相続人であれば、どなたでも申請できます(売買等によって土地を取得した方・法人については対象外)。土地が共有地である場合には、共有者全員で申請していただく必要があります。
国に引き渡すためには、法務大臣(窓口は法務局)の承認を得た上で、負担金(10年分の土地管理費相当額)を納付する必要があります。
申請する際には、1筆(※登記上の土地の個数を表す単位)の土地当たり1万4千円の審査手数料を納付する必要があります。
さらに、法務局による審査を経て承認されると、土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理費相当額の負担金の納付が必要です。
その他費用については、下記をご確認ください。
法務省が運営するYouTubeチャンネルに相続土地国庫帰属制度に関する動画が掲載されていますのでご覧ください。
(※自動再生しませんので、上記「相続土地国庫帰属制度に関する動画」をクリックし、YouTubeにてご覧ください。)
土地利用に関連する民法のルールの見直しについて
土地・建物に特化した財産管理制度の創設(令和5年4月1日施行)
調査を尽くしても所有者やその所在を知ることができない場合や、所有者による管理がされないことによって他人の権利・利益が侵害される場合(そのおそれがある場合を含みます。)に、その土地・建物について、利害関係人が地方裁判所に申し立てることで、その土地・建物の管理を行う管理人を選任してもらうことができます。
共有制度の見直し(令和5年4月1日施行)
共有物に軽微な変更を加えるために必要な要件が緩和され、全員の同意は不要となり、持分の過半数で決定することが可能です。
所在等が不明な共有者がいるときは、他の共有者は地方裁判所に申し立て、その決定を得て、残りの共有者による管理行為や変更行為、また、所在等が不明な共有者の持分を取得したり、その持分を含めて不動産全体を第三者に譲渡したりすることが可能となります。
遺産分割に関する新たなルールの導入(令和5年4月1日施行)
相続が発生してから遺産分割されないままで長期間放置されると、その状態で相続が繰り返され、更に多くの相続人が土地を共有することになり、遺産の管理・処分が難しくなります。
そこで、遺産分割がされずに長期間放置されるケースの解消を促進する新たなルールが設けられ、被相続人の死亡から10年を経過した後の遺産分割は、原則として具体的相続分を考慮せず、法定相続分(又は指定相続分(遺言による相続))によって画一的に行うこととされました。
相隣関係の見直し(令和5年4月1日施行)
隣地の所有者やその所在が分からない場合は、隣地の所有者から隣地の利用や伸びてきた枝の切取りなどに必要となる同意を得ることができず、土地を円滑に利活用することができません。
そこで、隣地を円滑・適正に使用できるように相隣関係に関するルールの様々な見直しがされました。
- 隣地使用権のルールの見直し
- ライフラインの設備の設置・使用権のルールの整備
- 越境した竹木の枝の切取りのルールの見直し
もっとくわしく知りたい場合は・・・
所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(令和3年(2021年)民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法)について詳しく知りたい場合は、法務省ウェブサイトをご覧ください。
法務省「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)」
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